英語の正しい学び方:2020年あるいはそれ以降に向けて

松岡 祐紀

一昔前、「駅前留学」という言葉が流行った。

気軽に、手軽に、簡単に英語を学べるということが謳い文句だった。
そして、その会社は会社更生法を申請し、事実上倒産した。


だが、今でも〇〇ラーニング、何々メソッド、という言葉に惑わされ、多くの人が無駄な時間を英語学習に費やしている。マーケティングの成功といえば、聞こえはいいが、それは消費者の側が一向に「英語を習得する」ということはどういうことか規定できていないからだ

ひとつの言語を習得するということは、音楽やスポーツに例えられる。

日本人は音楽やスポーツをするときは、その習得には時間がかかることを即時に理解するが、なぜか英語を習得しようとするときは、それを安易に考える。

音楽、スポーツ、そして英語は千本ノックにように反復練習を繰り返し、日々訓練し、長い時間をかけて初めて習得できるものだ。

日本人はテニスやサッカー、それに野球、またはギターやピアノを学ぶ時に、「気軽に、手軽に、簡単に」という謳い文句には騙されない。

英語の標準学習時間:最短は何時間か
(こちらを参照していただくとどんなに濃密に勉強しても、最低2000時間はかかるとのことが分かる。ちなみに中学校英語は合計300時間程度しかないので、全然足りない)

1年間365日かけて1日5時間半勉強して初めて、2000時間に到達する。
それでやっと実用レベルに達することが出来る。

これをスポーツや音楽を習った時に比較すると、しっくりくる。
もちろん、これだけの時間をかけても当然プロにはなれないが、どんなスポーツや音楽でもある程度のレベルには達することが出来るだろう。

英語学習にも全く同じことがいえる。
どんなに集中して1年間2000時間勉強してもプロにはなれないが、スタート台には立つことが出来る。

寝ているあいだに聞くだけでサッカーや野球がうまくなると聞くと、「アホか」と人は思うが、英語学習では長い間それがまかり通っている。

文部科学省が2020年までには中学校での英語はすべて英語で行うことを盛り込んだ「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」というものを発表したことは記憶に新しい。

日本の英語教育の現場には即していないという批判はあるかもしれないが、先進諸国では英語はインフラになりつつある。そして、インフラにしかならない(武器にはならない)現実を考えれば、遅すぎるくらいの対応だと思う。

今ですら、「格安オンライン英会話」「フィリピン留学」「〇〇ラーニング」など手軽さを謳ったサービスがあとを絶たない。

たしかに以前よりも安くなり手軽に英語学習が出来る環境は整った。ただその前提は変わらない。1年、あるいは2年かけて2000時間英語に費やす覚悟がなければ安易に手を出すべきではない。

時間の無駄だ。

自分たちのようなサービス提供者側が今後はこのような英語学習の側面をもっと強調していくべきだと思っている。いまのままだとマイナスの広告となり、英語難民を大量生産することになりかねないし、そんな余裕はもうこの国にはないのだから。

株式会社ワンズワード
代表取締役 松岡 祐紀
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