日本の学校教育というのは、基本的に決められたルールの中で、全員が同じ方向で競争し、優劣をつけていく方法だと思います。頑張って勉強して、一番を目指す。
会社に入ってからも、同じ競争が続きます。他の社員と比較されながら、ナンバーワンを目指す。ほとんどの人がこのようなことを、何十年もずっと続けている訳ですが、果たしてこの競争の中にどっぷり浸かるのが、人生の選択肢として良いのでしょうか?
昨日、出版エージェントの方とランチミーティングをご一緒して、「ナンバーワンを目指すよりオンリーワンを目指す」ことの圧倒的な価値を教えられました。
人生の目標を、ナンバーワンからオンリーワンにシフトすることには、いくつかのメリットがあります。
1つはストレスフルで不毛な競争に陥らないことです。
仕事であれば、似たようなことをやっていると、ライバルとの価格競争に陥ってしまいます。他の人にもできる仕事であればあるほど、「希少性」が低くなり価値を認めてもらいにくくなる。
プライベートも同じです。人と同じようなことをして差異を比較していると、妬んだりひがんだりといったストレスが溜まります。人とは関係なく、自分のやりたいことを突き詰める方が、他の人には無いもとを提供できますし、自分自身も楽しく毎日をすごせます。
そしてもう1つのメリットは、まったく新しい価値創造ができることです。
ナンバーワンを目指すということは、決められた枠の中での競争ということになります。例えば、大企業の社内の出世競争は、その会社の中でナンバーワンを目指すことになりますし、受験勉強も同じです。しかし、決められた枠の中でどれだけ努力をしてもそれはその枠以上には広がりません。
新しい価値創造とは、人間の決められた枠を超えたところに発生します。
電機メーカーが掃除機の性能競争でナンバーワンを目指していた中で、アイロボットがオンリーワンのお掃除ロボットルンバを作りました。掃除機業界の枠の中で競争していたら、生まれなかった新しい価値です。
あるいは、投資信託がアクティブファンドの運用競争をしている中で、1973年にアメリカのバンガード社は、世界で初めてインデックスファンドを設定・運用開始しました。2年後に個人向けに販売されたファンドは、最初は市場から冷やかに見られていましたが、今やアクティブ対インデックスという新しい資産運用の世界を構築しました。運用リターン競争というナンバーワン競争をしていたら生まれなかった新しい価値です。
プライベートでも自分のやりたいことをやっていると、人との比較では発見できなかった魅力的なライフスタイルに出逢えたりするのです。
オンリーワンにシフトすることは、簡単ではないかもしれません。しかし、毎日の生活の中で少しでも、人との比較だけで評価することを減らしていくだけで、人生は随分違ったものになっていくと思います。
大切なのは他人との相対比較ではなく、自分の絶対的な価値基準なのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。