つらつらとアベノミクスの今後について思うところです。これから日本は人口減少時代に入っていくわけで、それでも日本が経済成長を維持するには、
①労働市場への参加率を高め
②一人当たりの生産性を上げる
という2つの策しかないわけです。①は高齢化が進む中でも労働人口を維持するための政策で、②が成長力を高めるための政策というところでしょうか。労働力率が一定ならば、一人当たりの生産性の指標となるのが一人当たりGDPというわけなので、これを高めることが国家目標となるのでしょう。では現実の数値はどうかということで日米の一人当たり名目GDPを円ベースで比較してみると、日本の一人当たりGDPは1997年をピークにずっと横ばいです。
一方でアメリカはというと、円ベースで図ったこともあり為替変動の影響で上下しますが基本的には上昇傾向です。アベノミクスの成果ということが盛んに喧伝されますが、これを見る限りは今のところおおきな成果は出ていないのが現実です。まぁそりゃそうですよねまだ2年もたってないんですから。ではアベノミクスの今までは何だったのかというと、端的に言えば株価の上昇だった、というのが正しい答えのように思えます。
別にそれが悪いという気は毛頭なくて、おかげさまで多くの人がキャピタルゲインを稼げたわけですから、資産家の人は潤ったわけでそれは良いことだと思います。問題はそれが生産性向上につながるためにはどうすれば良いのか、ということなのですが、儲けた金を貯金するのではなく、生産性を高める投資をしてもらうということがどうしても必要になってくるわけです。生産性が高い業界は勝手に自己投資するので、じゃ生産性が低いセクターってどこなのという問題ですが、ちょっと古いですが中小企業庁のデータなぞを見るとこんな感じです。
ということで運輸、小売、飲食の生産性が圧倒的に低いわけですが、これに加えて農林水産業なども当然生産性が低いことが予測されまして、こういった分野に生産性を高めるような投資を呼び込めるかにアベノミクスの運命がかかってるのではないかと思う次第です。そんなわけで農業、観光分野の規制緩和は必須というわけで、色々批判されつつもIR(カジノ含む)だとか、農業分野での規制緩和は勧めていかなければならんなと思う次第です。
当たり前の話ですが、ではでは今回はこの辺で。
編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2014年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。