現実が変わらなくても、「幸福度」をアップさせる2つの方法 --- 内藤 忍

アゴラ

幸福かどうかというのは、とても主観的なものです。昨年から、マレーシア、フィリピン、タイ、カンボジア、バングラデシュといった新興国に何回も出かけていますが、現地に行って印象的なことは、人々の表情がとても明るく幸せそうに見えることです。彼らの本当の気持ちはわかりませんが、日本の通勤電車に乗っているビジネスパーソンの顔つきよりは、明らかに晴れ晴れとしています。


経済的な豊かさや努力すれば報われる環境といった点では、日本の方が圧倒的に幸福に暮らせるはずですが、ナゼ日本人は幸福を感じにくいのでしょうか?

「幸福」には2つの尺度があると思います。

1つは「絶対的な幸福」です。

例えば、コップに水が半分入っている時、「半分しか」入っていないと考える人と「半分も」入っていると感じる人がいます。事実は1つですが、感じ方は人によって異なるのです。同じ環境であっても、幸せを感じられる人と感じにくい人がいる。

現状をネガティブに捉えてしまうと、幸福を感じにくくなります。日本人は現状を肯定するより、否定してしまう傾向が強い民族に感じます。

そしてもう1つは、「幸福のベクトル」です。

昨日より今日、今日より明日が「きっと良くなる」と思っている人は幸福です。未来に希望を持つことで、現在ではなく未来のことを考えて生きることができるからです。高度経済成長の頃の日本人も希望に満ちていて、経済的には今ほど豊かではなくても、幸福感は今よりも強かったと思います。

日本人が幸福を感じにくくなっているのは、成長フェーズが終わり、少なくとも経済的にはベクトルが右肩上がりではなく、水平あるいは右肩下がりになってきていると思っているからです。

では、幸福度を高めるには、どのような考え方を持てば良いのでしょうか?

まず、現状に感謝する気持ちを持つことだと思います。自分が毎日の生活を心安らかに過ごせるだけで本当にありがたいと思えるようになる。現状に不満を持つのではなく、与えられた現実を楽しめる気持ちになることです。無理をする必要はなく、自分の心の奥底にある、感謝の気持ちを大切に大きく育てれば、自然に変化が現れます。

そして、未来に対する希望を持つことです。小さなことでも構いませんから、今日より明日が良くなると思えることを、1つでも良いから考えてみる。庭先にある小さな木の芽の成長でも、病気の症状が少しずつ回復していくことでも構いません。

「きっと良くなる」という前向きな気持ちが、幸福のベクトルを上向きにしてくれるのです。

環境を変える努力も大切ですが、現実をそのまま受け入れてその見方を変えることによっても人生観は変えることができます。人の気持ちとは極めて主観的なもの。だったら、自分に都合の良い考え方をしていった方が、気持ちよく生きることができるのです。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。