2013年度の発電電力量構成「火力88%」は過去最高で最悪 --- 石川 和男

アゴラ

今日の電気事業連合会の発表によると、2013年度までの近年における電力10社合計での電源別発電電力量構成比、原子力発電所設備利用率・燃料費の推移は、それぞれ下の資料1、資料2の通り。


2013年度での原子力発電比率がほぼゼロで、火力発電比率が88.3%であることは、非常に危機感を醸成させるものだ。この火力発電比率は、過去最高であって過去最悪である。

化石燃料と火力発電に関する危機感がエネルギー安全保障政策の根幹の一つなのだが、政治も行政も報道も、火力発電や化石燃料に対する楽観が悲観を圧倒し続けている。

その一つが化石燃料費用に係るもので、2013年度7.7兆円は震災前2010年度3.6兆円に比して100%超の増加となっている。原子力発電の早期再開が望まれるのは、こうした国富流出が大きな理由の一つである。

いずれにせよ、原発の円滑な廃炉を目指すのであれば、原子力発電の早期再開と稼働率向上による廃炉資金の捻出と積立が必須だ。原子力代替を見出すまでの数十年を原子力発電で凌いでいくことが唯一無二の合理的な選択肢である。

 それは、長い永い電源の開発から廃止までの工程では、ほんの『一時凌ぎ』でしかない。原発好き嫌いにかかわらず、原子力発電を早期に再開すれば、あと数十年で全ての国内原子炉はその発電に係る役割を円滑に終えることができるようになる。

<資料1>
2013年kwh構成
(出所:電気事業連合会資料
<資料2>
2013年原子力稼働率推移等
(出所:電気事業連合会資料


編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2014年5月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。