よく、芸能界は薬物による前科者に対して、甘いと言われる。本当にそうだろうか。
ここに薬物中毒で逮捕された有名人の一覧がまとまっている。
ここには数十名もの逮捕された有名人の名前が並んでいる。しかし、完全復帰できていると思える人は、長渕剛、美川憲一、にしきのあきら、研ナオコ、内田裕也、井上陽水、岩城滉一といように、20年以上前の、90年代前半までに逮捕された何人かだけだ。
それ以降に逮捕された人で、これといって復帰して成功した人物はいないように見える。そう見ると、芸能界も昔は薬物中毒者に甘かったのかもしれないが、今はそうでも無いのかもしれない。
ところで、私は逮捕されて復帰した芸能人の顔ぶれを見て、最近の、薬物問題に厳しい芸能界というのに逆に疑問を持った。なぜなら、内田裕也は最近も逮捕されるなどのヤンチャぶりが抜けないが、他の人は、そんなに危険というイメージはないからだ。そう考えると、長い人生の一瞬の過ちで、社会から完全に葬り去るという事を良しとするのはいかがなものかと思うのだ。
薬物で過ちを犯した人だって、何らかの形で生計を立てなければならない。それなのに、周りの人が、それを邪魔するという形で、一般社会から追い出したりしたら、薬物中毒者は一生自立したり、立ち直れず、自分の居場所を見つけられず、結局は薬物に走るだけなのではないだろうか。きっと、上記の復帰できた有名人だって、芸能界という居場所が無ければ、今でも薬物に溺れていて、社会にとって良くない人物であったという人もいるだろう。
日本人は、基本的に感情的に物事を判断する。なので、「薬物=悪」なので、厳罰化が正しいとしか思えない人が多いのかもしれない。しかし、一般市民にとって大事な、『自分の周りから、薬物中毒者を減らすにはどうしたら良いのか?』というのを合理的に考えると、必ずしも中毒者に厳しく接し、一度でも過ちを犯した物を社会から葬りさろうとする事のみが正義だとも言えないと思う。
渡辺 龍太
WORLD REVIEW編集長
主にジャーナリスト・ラジオMCなどを行なっている
著書「思わず人に言いたくなる伝染病の話(長崎出版)」
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