米1~3月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率の1.0%減と市場予想の0.5%減より弱い結果となりました。速報値の0.1%増を下回り、3年ぶりのマイナス成長です。ヘッドラインをみると、衝撃的ですね。
2011年1~3月期、日本が東日本震災を経験したあの時以来のマイナス成長。
(出所 : WSJ)
ただし、内容を振り返ると気落ちする必要はありません。
戦犯は他でもない、在庫投資なんです。在庫投資は速報値の874億ドルから490億ドルへ下方修正されていました。
むしろ速報値で弱さが際立った民間投資は、構造物投資こそ7.5%減と速報値の0.2%増から大幅に引き下げられましたが、他は上方修正されています。設備投資を示す機器投資は速報値の5.5%減から3.1%減へ下げ幅を縮小したほか、固定投資は2.3%減と速報値の2.8%減、非住宅投資も1.6%減と速報値の2.1%減からそれぞれマイナス幅をせばめました。
GDPの7割を占める肝心カナメの消費は、速報値の3.0%増から3.1%増へ上方修正されるとともに市場予想と一致しています。大寒波の影響で光熱費が支えたほか、医療保険制度改革(オバマケア)の施行によりヘルスケアが9.1%増と統計を開始した1947以来で最高を遂げていました。その他、住宅投資は5.0%減と速報値の5.7%減から上方修正。知的財産は5.1%増と、速報値の1.5%増から上方修正されていたんです。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、改定値の結果を受け「4~6月期に在庫投資の増加が見込まれるほか、最終消費は1.6%増と速報値や前期とほぼ変わらずとなっており経済活動の停滞を示すものではない」と説明。その上で「当方の4~6月期GDP予想、3.0%増をサポートする内容」とまとめていました。
CNBCが調査したエコノミストの4~6月期GDP予想平均にいたっては、3.74%増。ピアポイント・セキュリティーズは従来の2.9%増から3.5%増へ引き上げています。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文や議事録で強調されていたように4~6月期は回復が期待され、今日の悪いニュースは明日の良いニュースに取って代わりそうです。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年5月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。