W杯2014年、世界の祭典はスポンサーの寄与度も桁違い --- 安田 佐和子

アゴラ

「サッカーの母国」と名高いブラジルに、ワールドカップが1950年大会以来初めて帰って来ました。景気減速による反対デモ活動、インフラ整備の遅れ、地下鉄ストライキなど混沌が心配されましたが・・・やはり4年に1度の祭典に、大いに盛り上がりをみせていますね。前大会の覇者スペインがフライング・ダッチマンの神業ヘディングもあって5対1でオランダに大敗北を喫する大番狂わせから、イタリア対イングランドの華麗なる死闘にも魅了されてしまいました!

ブラジル対クロアチアの初戦での西村主審の判定に、ツイッターを発火点に世界で大きな物議を醸したのは、時代の流れですね。日本対コートジボアールにて、アメリカ人の間で「Go Japan!」の応援メッセージが飛び交ったのはフェイスブック。善かれ悪しかれ、ソーシャルネットワークの普及がワールドカップ観戦の方法を変え、つながる人々の間で交流が深まることも事実です。

とはいえ、ソーシャルネットワークは広告でW杯には参戦せず。W杯のパートナー/スポンサー企業は2010年大会の12社から14社へ増加したものの、ハイテクも合わせてITは皆無でした。

1982年からW杯のパートナー/スポンサー企業は、以下の通り。

(出所 : FIFA

前回に続き開催国がエマージング国なだけあって、先進国からは米国の製薬/日用品大手ジョンソン・アンド・ジョンソンが加わったのみ。他は開催国ブラジル通信大手オイのほか食品メーカー第3位のマルフリグ・グループ傘下の食品加工業者セアラ、そして中国の太陽光発電設備メーカーイングリ・ソーラーとBRICsの2カ国を占めています。(セアラとイングリ・ソーラーは2010年にも参加したものの、FIFAの資料にチェックが入っていないのはパートナー、スポンサー枠より下だった可能性があります)。

W杯といえば、「視聴者数で世界最大のスポーツイベント」と謳われているだけに、企業側も実入りが大きいと判断していることでしょう。今大会の視聴者数は32億人と全世界の約半分が予想されていますから、なおさらです。では、宣伝効果を期待するパートナー/スポンサー企業の貢献度は、いかほどなのでしょうか。

パートナー企業、今大会でいうならアディダス、コカコーラ、エミレーツ航空、ヒュンダイ、ソニー、ビザの年間支出額は、2500万—5000万ドル(2575万—5100万円)と言われています。その下のスポンサー、今大会でいうアンハイザー・ブッシュ・インベブ、カストロール、コンチネンタル、J&J、マクドナルド、モイ・パーク、オイ、イングリ・ソーラーでも1000万—2500万ドル(1020万—2550万円)。こうした企業の支援もあり、フォーブス誌によるとFIFAのマーケティング権利収入は2013年だけで4億400万ドル(412億円)。年間の29%を占めていました。

中国のイングリ・ソーラーは、同国初のスポンサー企業に名乗りを上げたものの業績は厳しい。2011年4—6月期を最後に利益を達成できておらず、2013年10—12月期の損失は1億2820万ドル(130億560万円)と1年ぶり最大を記録していました。米政府が太陽光パネル企業に新たな関税導入を仮決定しており、W杯での宣伝効果が期待できるかは疑問の余地が残ります。

イングリの業績は、W杯の協賛する陰で赤字トレンドを継続。

(出所 : Quartz

反対に、2010年大会で初めて協賛した企業は開催国の南アフリカからMTN、そしてインドからはIT大手マヒンドラ・サティヤムが脱落しました。インドについていうなら2013年度(2013年4月-2014年3月)の成長率が4.7%増、2012年度にいたっては4.5%増と10年間で最低に落ち込んでおり、広告展開の実利を放棄せざるを得なかったのでしょう。インドでは2007年からIリーグが誕生したものの実力はまだまだ途上段階で、世界ランキングで154位。しかし着実にサッカー人気は根付きつつありW杯の視聴者数は1億人を突破するといいますから、あらためてインド企業が参画する余地が残ります。

(トップ写真 : designbolts)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年6月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。