「儀式化」募る都議会本会議の虚しさ --- おときた 駿

アゴラ

本日は都議会本会議、大会派による代表質問の日でした。

以前から何度か書いている通り、都議会の本会議はかなりきっちりシナリオが決まっています

質問者も答弁者も互いの原稿をすでに手元に持っているので、基本的にそれが読み上げられるだけの「儀式」です。

そのため、途中で進行が止まったり荒れることもありませんし、ほとんど定刻通りか早く終るのが通例です(ヤジは多いけど)。

ところが本日は珍しく、というか私が議員になってから初めて、トラブルが発生して議事進行が1時間ほど止まり休憩に入りました。

その理由は…「過剰答弁」。


自民党さんの質問に対して、ある担当局の役人さんが、本来しゃべるべきではない部分まで読み上げてしまったようなんですね。「答弁漏れ」というのはたまに聞きますが、答弁が多すぎるというのは…(゚д゚)

どういうことかと言いますと、原稿が混ざったのかどうか知りませんが、答弁者が次の公明党さんの質問に対する答弁まで余計に自民党さんの質問に対して読み上げてしまったみたいなんです。

聞かれてもないことを、いや未来に聞かれることを予知して応えるとは、なんたるスーパー答弁者…!

で、これが発覚して問題になりまして、対応を協議するために長時間の休憩。休憩明けに簡易採決で、答弁者の発言を一部取り消すことが議決されました。そして、その後の公明党さんの質問に、同じ答弁が(以下略)

ちなみに。

この答弁者の「過剰答弁」について私は、お恥ずかしながらまったく気づきませんでした。たぶん、ほとんどの議員が気づいてなかったと思います。

都議会本議会の質問は一問一答ではなく、まず質問者がまとめて発言し、各担当者が順番に応える形式です。今回、自民党さんの持ち時間は63分間でした。

つまり、まず議員が63分間ぶっ続けでバーっとしゃべり、それに対して担当者が入れ替わり立ち代わり、これまた90分位の時間をかけて、質問に対して一つ一つ答えていくんですね。

おおまかな質問事項は事前配布されているものの、速記でもしてない限り、どんな質問があったのか、どの質問のどの部分に担当者が答えているのか、議場で聞いてるとだんだんわからなくなってきます。

なんか自分で書いてて情けなくなってくるんですが、こういう進行なので聞いてても集中力が落ちてくるし、

「あとで、議事録を読めばいっか!」

となって、居眠りしたり、内職する議員が大量発生するのですね。いわんや、傍聴している人はまったくわからないんじゃないかと思います。

始まる前から決まりきったシナリオ。互いに原稿を読み合うだけの質問者と答弁者。一問一答ではなく、一方通行の発言形式。

なんだか、議会の持つ様々な矛盾を一気に感じた本日のハプニングでした。どうしたらこういう議会を、円滑に進行しつつも自由闊達で議論活発なものにできるんでしょうね…。

大きな虚しさを覚えつつも、明日も午後から長時間の一般質問。みんなの党Tokyoからは、塩村あやか議員が登壇予定です(19時ごろ)。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2014年6月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。