ゴーン氏は高額報酬に見合う「成果」を出せるか

アゴラ編集部

またまた日産のCEOカルロス・ゴーン氏の年俸が話題になっています。6月24日、日産は定時株主総会を開き、自身の報酬総額を開示しました。それによれば、前期より0.7%増の9億9500万円、となっています。

一方、株主総会では同社の前期の業績なども発表しています。それによると、最終利益が14%増の3890億円で2ケタ増やし、国内の販売台数も11.1%増の71万9000台となっている。これをみても日産の業績はそれほど悪くありません。


もちろん、CEO一人だけ報酬を増やしているわけでもなく、株主総会では配当を「2014年度の年間配当は33円に増配し、配当性向の最低ラインを25%から30%に引き上げる」としています。ほかのステークホルダーに対しても労組へのベア回答は満額。4月から賃金を平均3500円アップし、一時金も満額回答を提示しています。

ゴーン氏自身が言っているように、欧米のCEO報酬は数億円などざらです。メルセデスベンツやBMWのCEOもほぼ同額をもらっている。30億円にも達するフォルクスワーゲンのCEO高額報酬が批判を浴びてはいますが、それなりの成果を出せば応分の報酬を得ることができるのは当然、という考えでしょう。それはCEO以外のステークホルダーに対しても同じことが言えます。

ただ、消費増税などによる国内需要の減少を受け、日産の国内生産台数は長期低落傾向にあります。「死守する」といっていた国内生産台数100台を割り込み、前期比16.0%減の96万4546台で三年連続の減少になっているんだが、逆にグローバル生産台数は三年連続で過去最高を更新している。日産の国内生産台数100万台割れは1960年代以降、初めてのことだそうです。

また、日産は微減ながら2013年、14年と2期連続で決算の期中下方修正をしています。この原因は、新興国での販売台数の伸び悩みで、日産に限らず世界の自動車メーカー各社が苦しんでいるところ。日産の場合は、下方修正の影響を少なくするため、国内生産を犠牲にしてグローバル生産へシフトしたのかもしれません。3度目の下方修正はなんとしても避けたいでしょう。

ゴーン氏は、2016年度までに「世界シェア8%、連結営業利益率8%」を目指す、いわゆる「パワー88」を掲げています。これが日産のIR情報。現状は世界シェア6.2%です。ゴーン体制を支えてきた志賀俊之COOを外す若返り人事も断行し、この中期経営計画も「死守」すると強気です。一方、ゴーン氏の求心力が落ちている、という批判は根強い。また、連結の従業員16万人にベア3500円昇給したといっても、ゴーン氏がもらう1/7の67億2000万円ほどにしかなりません。日本の大手企業の低額CEO報酬とは比べものにならない高額報酬を手にする以上、有言実行の「成果」が求められているというわけです。


2013年の東京モーターショーにおける日産の小型EV。横浜などで実証実験をやっている。株主総会ではEVに偏り過ぎているのでは、と疑問視する声も出たらしい。

レスポンス
日産 ゴーン社長、“女性にやさしいディーラー店舗”視察…「明るく安心できる空間」


Hay fever linked to warm weather causes soaring number of GP visits
the guardian
花粉症のことを英語で「Hay Fever」と言います。日本ではすでに梅雨の季節に入り、花粉症に悩む人は少なくなってるんだが、英国では温かい日が続いて花粉症の患者が増えているらしい。去年の同じ時期より14%も多いんだそうです。このアレルギー疾患、世界的な現代病になっているらしい。英国の6月7月は本当に素晴らしい。空気が乾燥し、陽が長く、パブで飲むビールがめちゃくちゃ美味い。そんな季節に外出が億劫になるのはかわいそうです。

アメリカ人従軍記者の視点からワルシャワ蜂起を描く「Enemy Front」のストーリートレーラーが公開
doope!
「ワルシャワ蜂起」というのは、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のポーランドの首都ワルシャワで、ソ連の侵攻に合わせたレジスタンスの武装蜂起のことです。ワルシャワの内と外からドイツ軍を攻撃する、というわけなんだが、ソ連軍は侵攻を止め、武装蜂起側は孤立。援軍のないまま、内部蜂起側は火力で劣勢のため、ドイツ軍に降伏します。ソ連軍は内部蜂起側に西側勢力のレジスタンスがいたため、戦後の共産党統治を行いやすくするために彼らを見殺しにしたわけです。アンジェイ・ワイダ監督の映画『地下水道』は、蜂起失敗後もワルシャワの地下水道で抵抗を続けるパルチザンを描いた作品。この記事では、このワルシャワ蜂起に従軍記者として参加したという設定の米国人の視点を描いたFPSシューティングゲームのトレイラーを紹介しています。しかし、ワルシャワ蜂起に米軍従軍記者なんていたんでしょうか。

Mental illness not usually linked to crime, research finds
SCIENCE
犯罪と遺伝子や脳の欠損などの関係は、以前からいろいろと言われてきました。「犯罪者の家系」とか「犯罪を起こしやすい脳疾患」とか。しかし、うつ病やいわゆる躁鬱病の双極性障害など、外傷ではない精神疾患が犯罪に直接関係した事例は全体の7.5%しかない、という研究があります。こうした精神疾患は他者に対して「危険」は及ぼさない、ということです。

日本のSRI(社会的責任投資)は、CSR報告をどう変えるのか
CSRのその先へ
環境、社会、ガバナンスといった項目を指標として企業を社会的な責任から評価し、投資活動を通じて起業支援する、というのが「SRI(社会的責任投資、Socially responsible investment)」という考え方です。もともとはキリスト教的な考え方らしい。地域社会に貢献する企業を支援したり、環境問題に取り組んで解決に努力している企業を支援したりするわけです。米国ではこれが3兆~4兆ドル規模にまで達し、欧州にいたっては8兆ドルを超える額になっている。CSRの考え方の違いもあるんだろうが、ご多分に漏れず日本はお寒い限りです。


アゴラ編集部:石田 雅彦