「牛丼屋で飲む」習慣は定着するか

アゴラ編集部

アゴラはこの3月まで東京の神田にありました。現在は移転して上野になります。神田と上野の街を比べると距離的には近いものの、これがかなり違います。上野は御徒町と続きなせいか、多国籍、という印象の強い街です。アメ横から上野広小路あたりはアジアからの観光客や在住者なども多い。飲食店では、以前からの焼肉屋を始め、ケバブ屋などの中東系もけっこうある。治安は神田よりずっと悪く、スリが横行している、という話もあります。ただ、アゴラが移転したのは入谷のほうなので、治安はいいものの周囲にはバイク屋くらいしかありません。


神田は日銀や日本橋も近いせいか、サラリーマンの街、といった雰囲気があります。キャバクラなどの風俗店も多いわりに隣接する秋葉原のようなJKリフレっぽいものはない。美味い鰻屋とか蕎麦屋、トンカツ屋などがあり、江戸前な風味も感じる街です。

そんな神田駅の鍛冶町のほう、山手線の内側のガード下に牛丼の吉野家があるんだが、ここは午後5時から二階席が飲み屋に変身します。吉野家の広報に聴くと、東京エリアの意欲的店長が名乗りを上げ、テストパターンで始めたんだとか。今のところ、この形態の店舗はここだけです。

二階席へ行くと焼酎やホッピーなども飲めるようになっています。ツマミも牛皿などはもちろんあるものの、枝豆や冷や奴など牛丼店らしからぬ多種多様なものがあり、照明が明るくて吉野家っぽいところを除けば、いたって普通の飲み屋というたたずまい。店員さんは二名ほど。客席は40席ほどでしょうか。当方が行ったときは、別に3~4人の二組の中年サラリーマンの客がいました。

果たして吉野家が始めた飲み屋ビジネス、これから拡大するんでしょうか。この店舗はガード下の並びに格安の焼き鳥屋や飲み屋が軒を連ねていてライバルは手強そうです。サラリーマン街なのに平日の夜に客が三組だけ、というのは厳しいかもしれません。この店舗の二階が吉野家ブランドで夜間に飲み屋になる、ということが衆知されていないこともあるでしょう。吉野家広報によると、この店舗で様子見をし、今後の展開は未定、とのことでした。

ただ、吉野家で牛皿をつまみにダラダラ飲みたいけど酒量に制限があるので残念とか、飲んだ締めに牛丼を食べたいからそれ以前から飲んでると便利、といった客層がありそうです。最近では、ファミレスのアルコールドリンクバーで飲む、というのが流行ってるようなんだが、天丼の「てんや」にはCPの高い生ビールセットなるものもあります。外食産業では、牛丼と居酒屋が大幅に収益を悪化させているらしい。生き残り戦術を考えるなら、防犯の観点から繁華街に限って夜間の牛丼屋が飲み屋に業態転換する、というビジネスが始まるのかもしれません。

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90%と言われる致死性の高い伝染病「エボラ出血熱」が手に負えなくなっているようです。ここ数カ月、アフリカ各地で飛び火状態になり、最近ではギニア湾岸諸国へ蔓延。ヨーロッパで患者が出るのも時間の問題、ということで大騒ぎになっている。ワクチンや治療法はない病気なので、現在、積極的に対応に当たっているのは国境なき医師団のみ、というお寒い状態です。ヨーロッパのハブ空港で発症し、感染が拡大すれば世界中に広がるかもしれません。


アゴラ編集部:石田 雅彦