個人のセルフブランディングに必要な3つの要素 --- 内藤 忍

アゴラ

先週末の丸の内朝大学マネーコミュニケーションクラスのフィールドワークでは、多くの企業を訪問し、復興にかける熱い想いを経営者の方に伺いました。日本人の「被災地」に対する特別な想いが風化していく中で、東北の企業がどうやって生き残っていくのか。そのキーワードは「ブランディング」だと感じました。


同じ品質のものであっても、あるモノには高い価値を感じ、別のモノにはあまり価値を感じない。そんな差を感じさせてくれるのがブランドです。

ルイヴィトンのバッグは、高額なのにみんなが欲しがるのは、機能性があって丈夫で長持ちするからだけではありません。それが「ブランド」としての価値を持っているからです。周到な方法によって、世界中にその価値を認めさせています。

東北で感じたことは、良い商品であっても、ブランディングができていなければ、世の中に広がることは難しいということです。

例えば、八木澤商店さんのポン酢。東京では味わうことのできない高い価値を持っていると思いますが、その価値が認知されているとは言えません。ブランディングの方法によっては、遥かに大きく成長できる可能性があると感じました。

企業でも個人でも、提供する商品やサービスに高い品質と付加価値を維持することは当然ですが、その差は見えにくいし、維持するのは簡単ではありません。違いを、わかりやすく、継続的に世の中にアピールするために、ブランディングをもっと重視すべきです。

ハイブランドがやっているようなブランディングには膨大なコストと時間がかかりますが、中小企業や個人レベルが、ブランディングを進める上で何が必要でしょうか?

私は、プラットフォーム、コンテンツ、キャラクターの3つだと考えています。

プラットフォームとは、自分たちの情報を発信する土台です。ネット上のホームページ、あるいはフェイスブックなどのSNSかもしれません。多くの人に見てもらえる場所を作ることがブランドを認知してもらう基本になります。

次に必要なのがコンテンツです。発信する内容が無ければ、土台があっても上に乗せるものがありません。世の中で価値を認めてもらえるコンテンツが、そもそも無いのでは、ブランディングする素材が見つからない訳ですからやりようがありません。個人のブランディングであれば、自分が持っているスキルや経験などがコンテンツになります。

しかしコンテンツがあっても、それが際立っていなければ注目してもらうことはできません。それが、キャラクターです。同じ能力やスキルを持っている人でも、キャラクターがある人の方が注目されることが多く、ブランディングがしやすくなります。人と違う個性のようなもの。切り口のユニークさが問われるのです。

この3つの要素が1つでも欠けているとブランディングは成功しないと思います。逆に3つをバランス良く兼ね備えた会社や人は、注目され、セルフブランディングに成功する可能性が高まるのです。

世の中にはコンテンツを持っている人はたくさんいます。しかし、それを発信できるプラットフォームを持っている人は限られています。また、せっかくのコンテンツが他のものとどう違うのか、キャラクターを出せていないケースも多いのです。

フィールドワークでは、東北の地元企業のブランディングを考えましたが、これは個人レベルでもまったく同じです。ブランディングは、これからの企業経営だけではなく、個人レベルでも重要になってくるのです。

会社で仕事をしている人であれば、「自分マイナス会社」が自分のブランド価値になります。何も残らないのではないかと不安を感じる人は、3つの要素の何が足りないのかを考え、対策を立てておくべきでしょう。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年6月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。