集団的自衛権「行使容認」の真意はどこにあるか

アゴラ編集部

安倍政権が7月1日、臨時閣議を開き、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をしました。これまで歴代の内閣は「集団的自衛権」という権利は持つが「行使できない」としてきたわけです。

この論拠は憲法第9条、つまり「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という条文が「集団的自衛権を容認していない」と解釈されてきたものであり、この「憲法解釈」を変更しないと「行使の容認」もできない、ということになっていました。


つまり、安倍政権は、憲法第9条は「集団的自衛権」を容認している、という解釈に変更したわけです。米国は表面上は歓迎し、フィリピンもいち早く安倍政権の決定に対して支持を表明。中韓などは警戒感をあらわに批判しています。

「自衛権」には「個別的自衛権」と「集団的自衛権」があります。「個別的自衛権」というのは、自国が攻撃されたときに反撃する権利で、これまでの政権も「個別的自衛権」の行使は容認してきた。だから日本に「自衛隊」があるわけです。

しかし「集団的自衛権」というのは、日本に限らずどこの国も平等に持つ権利でありながら、政府はこれを否定してきました。これは日本が攻撃されていないのに「密接な関係にある他国」が攻撃されたとき、攻撃してきた相手国に対して反撃したら日本が戦争に巻き込まれてしまうんじゃないか、という意見が強かったためです。

また、今の日本は、米国と安全保障条約を結んでいるんだが、内容的にはっきりと相互に軍事力を発揮して防衛し合うと書いているわけではありません。この条約の内容を改訂するためには、かなりの抵抗が予想されるので、安倍政権は「集団的自衛権」の行使容認で「片務的」と言われている安保条約に対応する姿勢を見せたんじゃないか、という意見もあります。

つまり「密接な関係にある他国」が米国を指す場合、もし米国が第三国から攻撃されれば、日本が米国に変わって自衛隊を出すことになります。日米安全保障条約の「片務性」を排除できれば、米軍の役割を肩代わりでき、その先には在日米軍の撤退縮小も可能になる。今回の憲法解釈の変更は、そのあたりも視野に入れているのではないか、というわけです。

沖縄はもちろん、米国は横田基地と横須賀基地という首都東京の「喉元」に、空海の巨大な軍事基地を擁しています。彼らがこれら拠点を押さえている以上、日本が米国に対し、軍事的に弱い立場にあるのは事実でしょう。おそらく米国は、いまだに軍事大国化する日本を怖れている。

いくら同盟国とはいえ、これほどの「厚遇」で基地を置いてもらっている国はほかにありません。冷戦後にフィリピンから退いたように、米国は「その国から拒絶されればどの国の軍事基地も撤退する」と表明しているんだが、日本の基地を簡単に手放すとは思えない。「片務的」なままなら、今の状態は固定化され続けるでしょう。

しかし「集団的自衛権」の行使容認、という条件があれば、日本は米国の軍事的な影響下から少しずつ離脱できるかもしれません。もちろん、これは日本の軍備拡張とワンセットであり、そこが安倍首相が目指すところなのかもしれません。日本の修正資本主義が「アベノミクス」のように高度成長期のような右肩上がりを目指すなら、その「解」はかなり限定されます。

日本と「密接な関係にある他国」は、時代と共に変わります。中国が軍事的に覇権主義化しつつある中、東アジアの地政学的バランスも変化する。今回の憲法第9条の解釈の変更が、米国や中国を含む各国に対し、どんな意味のメッセージを発するのか、要注意です。

Shimarnyのブログ
何故に「9条守れ、戦争反対」と叫び、何故に「自衛隊放棄、日米安保破棄」と叫ばない


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US and EU Sanctions Had “Chilling Effect” on Russian Economy
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ハリウッド騒然!「メタルギア ソリッド」最新作トレーラーに映画界から称賛の声!
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コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督が編集したトレーラーだそうです。映画『ドライヴ』や『オンリー・ゴッド』のニコラス・ウィンディング・レフン監督、韓国のパク・チャヌク監督なんかがコメントを寄せている。しかし、このトレーラーを見ればゲームなどしなくてもお腹いっぱいです。

こちらのデモバージョンのほうもすごいですな。しかし段ボールに入って移動、というのはちょっと笑えた。


アゴラ編集部:石田 雅彦