どうも新田です。私も「ふなっしー」のようにブレイクしたいと、ゆる~い野心を抱いてます。ところで、高円寺といえば、千葉県出身の田舎者の私などは、ねじめ正一さんの代表作「高円寺純情商店街」がすぐ想起されるのですが、ここ数日、高円寺商店街のゆるキャラ募集がネット上で「祭り」となっていて、テレビや一般紙でも取り上げ始めたようです。
コトの顛末は、毎日新聞や、ねとらぼあたりの記事をお読みいただければと思いますが、この話題をもはや全国区に押し上げつつある要因について、最近はやりの「バイラル」の視点で考えると実に理に適った拡散ぶりです。
まずは商店街のツイッターの「中の人」の当意即妙、かつフレンドリーなツイートが拡散エンジンとしてフル稼働していますね。ツイッターを使い尽くしている企業広報のみなさんにはもはやお馴染みの事例ですが、警視庁アカウントの中の人である「本職」氏がたちまち人気を博したことでも分かるように、高いコミュニケーション能力は「バイラル効果」を高めるうえで超有効です。
さらに輪をかけているのが画像投稿。祭りと化すきっかけとなった「リンゴ飴マン」の投稿に始まり、連日おもしろ応募作が続々と投げ込まれ、これを画像とともに適宜、中の人のツッコミツイートとともに発信されるわけです。
私もネット選挙の仕事をやってて実感するのですが、画像や動画付きの投稿がいかに拡散の効果を高めるかは、こちらの記事にあるデータが出ています。
ただ、画像を付ける云々というのは小手先のことです。今年のバイラル案件でも高円寺がそれなりの事例になりそうなのは、ストーリー性がある点に注目したいところ。吉祥寺や桧原村などの既存の「ゆるキャラ」が高円寺に乗り換えを計ってくるという展開に目新しさがあるわけですが、各キャラから「高円寺でもっとブレイクしたい」と思っているという浅ましい上昇志向を感じさせる“設定”が面白いわけです。
ま、様々なキャラクターを集めてカオスを演出して、盛り上がりを計るというPR手法は鉄板です。元プロ野球担当記者としては楽天イーグルスが創業まもない頃に「Mr.カラスコ」という従来の球界にはいなかった悪役マスコットを作り出した事例を思い出しますわ。野球のマスコットは善玉しかいないという掟を破ったことだけでも話題性を生むわけですが、作り出したストーリーをどう波及させていくか、発火点から着地点まで全体のプロセスも見据えているからこそ、仕掛け方も緻密になるというものです。
そうすると、今回の高円寺商店街。各メディアの取材に対してこの企画の担当者の立場はあくまで「頭を抱えている」「困惑」ということになってますが、どうなんでしょうかね。ここまでの流れを見ると、「リンゴ飴マン」の登場から他のゆるキャラ投稿に至るまでの展開が時間間隔を含めて絶妙で本当に偶発的なものなんだろうか?純情ズラして裏では、全体の絵を描いていてテヘペロなんじゃねーの、実は代理店入ってるんじゃねーの?と穿ってみてしまうしまうわけですが。もっとも、仮にこれが確信犯だったとしても、別にいいと思うんですよ。ヤクルトのつば九郎の事例でいえば、FA宣言して相撲部屋に体験入門するパフォーマンスを繰り広げたところで、「茶番劇だ!焼き鳥にするぞ」なんて野暮なヤジを飛ばしそうな燕ファンは、切込隊長くらいでしょう。わはは。
いずれにせよ、ネットを使った商店街の活性化策としては、高円寺商店街の取り組みは非常に面白い事例だと思います。
それで最後に今回のオチですが、来週22日(火)18~20時、西武信用金庫様が東京・中野の本店で開催する「商店街実践セミナー」にて、商店街関係者の方々向けに、メディアに注目される話題のつくり方、発信の仕方について私が講師をいたします。プレスリリースづくりのワークショップも含めて、楽しく、実務的な内容にしますので損は無いと思います。ご興味をもたれた商店街の方がいらっしゃれば、ぜひご参加ください(問い合わせは西武信用金庫業務推進企画部街づくり支援担当03・3384・6111)。まだお席はあります。
てな具合で、結局は告知に落とし込む私は私利私欲の塊で、やはり純情とは程遠いようです。ではでは。
新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ