米7月新車販売台数は、ビッグ3のうちリコールを相次いで発表中のGM以外は予想を上回った。労働市場の回復が支えとなったほか、銀行がサブプライム層の自動車ローン借り入れを緩和させており前月に続き金融危機以前の水準を取り戻している。全体的には引き続き、スポーツ多目的車と高級車がけん引していた。
オートデータが発表した米7月新車販売台数は、年率1640万台と市場予想の1670万台を下回った。2006年7月以来の1700万台突破が迫った前月の1692万台に届かなかったとはいえ、好調なペースを維持している。なお米自動車情報サービス会社エドマンズ・ドットコムの2014年見通し「1640万台」が視野に入り、2006年の1650万台に次ぐ販売台数を記録する期待が膨らむ。
以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。
GMは前年同月比9.4%増の25万6160台だった。市場予想の前年同月比11.0%増を下回ったが、単月では2007年以来の高水準。シェビーが14%増、ビュイックも11%増と2桁増を記録。ビュイックが「アンコール」が28%増だったほか、中型のGMC、シボレー、ビュイックのクロスオーバーも14%増と支えた。キャデラックも「エスカレード」も、ほぼ倍増し勢いを保った。年初来から2000万台を超えるリコールを発表したものの、引き続き特に影響は現れていない。GMは2014年見通しにつき、1600万~1650万台と2007年以来の高水準を維持した。
フォードは市場予想の9.2%増より強い9.5%増の21万2236台だった。単月では、2006年以来で最高を成し遂げた。小型車のフォード「フュージョン」が単月ベースで過去最高を達成したほか、スポーツ多目的車(SUV)のフォード「エクスプローター」が32%増、同「エスケープ」も19%増と寄与。高級車部門ではリンカーンが14%増と前月の減少から反転した。
伊フィアット傘下のクライスラーは、市場予想の20%増を上回る22.5%増の16万7667台だった。前年比超えを約4年以上も維持し、単月ベースでは2005年以来で最高を達成。特にSUV「ジープ」が41%増と好調を保ったほか、クライスラー部門の7車種は過去最高を果たした。フィアットも、小幅ながら1%増だった。
7月時点の自動車メーカー別シェアは、以下の通り。
日本車をみると、トヨタはレクサスを含め市場予想の10.6%増を上回る11.6%増の21万5802台だった。トヨタが10.6%増の18万8459台だったほか、レクサスも18.7 %増の2万7333台と好調を維持。トヨタでは主力の「カローラ」が26%増だったほか、「カムリ」も15%増と2桁を保った。
ホンダは、市場予想の3.1%減より弱い3.9%減の13万5908台だった。ホンダが2.3%減の12万3428台、アキュラは17.6%減の1万2480台となった。日産は市場予想の14.0%増に対し11.4%増の12万1452台。日産が11.5%増の11万2914台と単月で最高を記録し、インフィニティも10.0%増の8538台へ加速した。
高級車部門別では、ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」が前年同月比15%増の2万7192台と過去最高を塗り替えた。5月と6月こそBMWに完敗したが、1位に返り咲いている。年初来では8.0%増の17万8816台とBMWの後塵を拝しており、米高級車部門別で悲願の1位を達成した2013年に続き王座を堅持できるかは、微妙な情勢だ。BMWグループのうちMINIを除く「BMW」ブランドが9.8%増の2万6409台だった。年初来では11.7%増の18万3791台と、3ヵ月連続で首位を保つ。フォルクスワーゲン(VW)傘下の「アウディ」は11.9%増の1万4616台と、単月ベースで43ヵ月連続で過去最高を更新した。年初来では13.3%増の9万8965台と、こちらも過去最高を塗り替えた。
その他の海外メーカーではアウディを除くVWは14.6%減の3万553台と、10ヵ月連続で減少した。ヒュンダイは1.5%増の6万7011台だった。
(カバー写真 : Ford)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。