前回は、ブラックストーン副会長のバイロン・ウィーン氏の相場観をお伝えしました。中東およびウクライナでの地政学的リスクが台頭するなかでも、弱気に傾いて這いませんでしたね。
ただ8月7日には、オバマ米大統領がイラクでの人道的支援に基づく空爆および物資投下を承認しました。
では、アメリカ人の投資家は現状の相場に対しどのような認識なの でしょう?
CNBCによると、アメリカ個人投資家協会(AAII)の週間調査では「弱気」の回答が38.2%。対して、「強気」の回答は30.9%でした。ここまで大きく水を大きく開けられたのは、2013年8月22日以来だといいます。
AAIIのチャールズ・ロトブラット副会長は、結果に対し「割高感、地政学的リスク、景気拡大ペースの鈍化、連邦政府の政策に対するいら立ちを反映する」と説明しています。
では金融市場関係者を対象としたインベスターズ・インテリジェンスの最新の調査結果をみてみましょう。
短期的に「強気」スタンスの回答者は50.6%に対し、「弱気」の17.1%を圧倒しているようにみえま す。ただし6月半ばの「強気」が62.6%、「弱気」が16.2%だったことを踏まえると「強気」がいく分後退しているんです。
また10%の調整を予想する回答者は、32.4%へ増えたといいます。
(出所 : Bpmwatch)
インべスターズ・ イ ンテリジェンスのアナリスト、 ジョン・グレイ氏は「Fedの量的緩和(QE)終了、テクニカル・ダイバージェンス、さらにロシアに対する 制裁強化を受けた世界貿易への影響」を理由に挙げていました。
ただしCNBCは、記事でこう付け加えます—「センチメントは逆張り派の投資家に活用される」。
その上で、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのサビータ・スブラマニアン米ストラテジストのコメントを引用し「買いシグナルが点灯した」というのです。
BOAメリルリンチの最新調査でも株式相場に弱気なスタンスを映し出しており、ポートフォリオに占める株式の割合は50.8%でした。通常の60—65%を大きく下回っています。つまり裏を返せば、買い出動するタイミングというわけです。「人の行く 裏道に道あり 花の山」ですね。
インベスターズ・インテリジェンスも、同社の指標によると「過度に売られ過ぎ」を示していると指摘します。その上で「投資家はいずれショートカバーを余儀なくされ、相場下落のチャンスに乗りロングを構築せざるを得なくなる」と予想し、「買い」を推奨してい ました。
アメリカ人にはやはり、マカロ ニ・ウェスタン的強気精神が息づいています。
(カバー写真 : CNBC)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。