世界最古の職業に、デフレの波が訪れています。
そう、「売春」です。
ドイツで売春業は合法とされ、ベルリンでアプリ「Peppr」を使えば文字通り手軽にサービスにありつけます。しかしアプリがないからといって、そこに需要がある限り供給が滞ることはない。ネットの力を借り日本では出会い系サイトを通じて横行し、米国でも情報交換サイトなどを介し密かに広がりをみせています。
その結果、価格破壊が進んでしまっているというのです。エコノミスト誌が教えてくれます。
チャートを見ると、1時間当たりの平均料金は金融危機の前からなだらかに下落。特に2010年から2013年にかけての低迷は、経済を反映した供給拡大、つまり経済的な理由で売春を余儀なくされた女性が増加したとも推察できます(ここでは、人身売買という卑劣極まりない闇ルートは別とします)。
一時は350ドル手前でしたが、一時は250ドル付近まで下落。
1時間当たり平均料金の下落は、今年に入ってようやく一服しつつあるようにみえます。しかし、料金そのものは様々な要因で異なってきます。
例えば女性の外見、容姿。以下は項目別でみた1時間当たり平均料金の順位です。
体格別では、1)フィット、2)細身、3)痩せ型、4)平均、5)ぽっちゃり、6)たるみ、7)太め、8)肥満
髪の色では、1)ブロンド、2)ニセ金髪、3)ブラウン、4)赤毛、5)黒髪
髪の長さでは、1)非常に長い、2)、肩より長い、3)肩の長さ、4)アゴまで長さ
胸のサイズでは、1)D以上、2)C、3)B、4)A、5)平坦
もちろん、客の要求によって料金も千差万別。
複数の男性あるいは女性とのサービスの場合は、通常料金より100ドル以上と最も上乗せ料金が大きい。またアナルセックスやSMのプレミアムが20—50ドルである一方で、キスを含む場合は約60ドルとニッチな要望よりお高くなっています。これは、女性にタブーを強制するからでしょう。
女性が白人か黒人かでも、料金は明らかに変わってきます。
圧倒的に白人女性が有利な売春市場。
ニューヨークが最もスプレッドが大きく、ロンドンが続きます。ロンドンでは恐らく、アフリカ系移民の増加で黒人料金が抑えられているのでしょう。アトランタは南部とあって、黒人の割合が多いという事情が影響したといえます。
低料金化が進めば、働く側への負担が大きくなること必至。せっかく世界景気の回復とともに底打ちの兆しが点灯してきたところで、今度はFedの出口政策入りへの懸念や地政学的リスクで経済が失速しつつあり、供給サイドが増加するリスクをはらみます。世界最古の職業に押し寄せるデフレ傾向に歯止めが掛かる様子は、なかなか見えてきません。
(文中写真:全てThe Economist、カバー写真:Nils Hamerlinck)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年8月13日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。