ローマ法王の訪韓に期待すること --- 長谷川 良

アゴラ

ローマ、カトリック教会の最高指導者ローマ法王フランシスコは8月14日、就任3回目の海外の訪問先、韓国を訪問する。5日間の日程の同訪問では、大田や忠清南道一帯で開かれる「第6回アジア青年大会」に参加するほか、韓国教会の殉教者124人の列福式など行なう。法王の訪韓は、1984年と1989年のヨハネ・パウロ2世以来で、3回目だ。


今年に入って、旅客船「セウォル号」沈没事故で300人余りの死傷者が出るなど、韓国社会は厳しい内外の問題に直面している。それだけに多くの国民はローマ法王の訪韓に精神的癒しを期待している。当方もその一人だ。韓国に今必要なことは、経済的繁栄以上に国民の間の絆を強くする精神的覚醒だからだ。

韓国は終戦後、日本と同じように経済的復興に邁進してきた。先行する日本を追い付き追い越せ、といった一念で韓国民は頑張ってきた。サムスンや現代自動車など一部の韓国企業は今や世界的企業へと発展してきた。その一方、韓国は現在、一握りの勝利者と大多数の敗北者を生み出す激しい競争社会になっている。

以下、韓国聯合ニュースの記事(2014年3月6日)を紹介する。

「韓国の自殺死亡率が20年間で3倍以上に拡大したことが6日、統計庁の調べで分かった。死亡原因統計によると、2012年の人口10万人当たりの自殺者(自殺死亡率)は28.1人だった。経済協力開発機構(OECD)の基準で算定すると、2012年の韓国の自殺死亡率は29.1人でOECD加盟国のうち最も高い。加盟国平均(12.5人)の2.3倍にあたる。警察庁が同年に自殺死亡者の遺書や周りの話を基に分析した結果、経済的な苦しみから命を絶った人が約2割だった。専門家の間では、社会的なセーフティーネットが十分でなく、生活苦にあえぐ社会的弱者層が放置されているとの指摘もある」

上記の記事を読んでも分かるように、韓国社会は病んでいる。当方がローマ法王に期待するところは、共生、共栄、共義主義の社会建設へのアドバイスだ。韓国がアジアの真の指導的国家になっていくためにも、韓国国民はもう一度生まれ変わらなければならない。ローマ法王の訪韓で杞憂する点は、朴政権が日本の歴史問題に関して、ローマ法王から何らかの言質を取ろうとする試みだ。ローマ法王の訪韓を自国の政治目的に利用してはならない。

フランシスコ法王は4月、韓国の珍島沖で起きた旅客船「セウォル号」沈没事故について、「韓国民すべてに深い哀悼を表す。若者に会いに行く訪韓を控え、多くの若い生命の犠牲を非常に残念に 思う。韓国民がこの事故をきっかけに倫理的・霊的に生まれ変わることを望む」と強調している(「ローマ法王の『韓国国民への伝言』2014年4月29日参考)。ローマ法王の訪韓が実りあるものとなることを期待する。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。