イスタンブールで不動産投資の可能性を探っています。新興国と呼ばれているトルコですが、イスタンブールにいると日本は既にトルコに経済力で抜かれているのではないかと思うことがあります。
経済的な豊かさは、一人あたりGDPで比較することができます。例えば、日本は4万7000ドル程度ですが、トルコは1万ドルを超えた程度と言われています。アジアの新興国は、マレーシアも1万ドル、タイは5000ドル、フィリピンが3000ドル、カンボジア、バングラデシュが1000ドルといったレベルです。まだ、日本に比べると大きなギャップがあるように見えます。
しかし、トルコの場合、首都のイスタンブールとそれ以外の地域格差が大きいと言われています。一説によれば、イスタンブールだけを見ると、一人あたりのGDPは30000ドルくらいに達しているのではないかと言われています。
飲食は日本の3割から5割安。タクシーも3分の1くらいの物価水準ですから(ただし、地下鉄の料金は200円近くしました)、購買力でみたイスタンブールの人たちの生活水準は、既に日本全体の平均的なレベルを超えている可能性があります。
新興国と思っていたら、気が付かないうちに日本が抜かれているということです。
しかも、トルコの成長は続いています。GDPは2002年の2,310億米ドルから、2013年には8,200億米ドルと、約3倍に増加。過去10年間の実質GDP成長率が年平均5.1%となっています。この成長スピードは、当分続く可能性が高いと考えられます。つまり、イスタンブールと日本全体との差は、さらに広がっていくということです。
確かに、トルコ経済には問題点も指摘されます。経常赤字が続き、海外資本に対する依存度が高い資本構造から「Fragile5」と呼ばれる脆弱な状態であること。為替レートも不安定で、自国通貨に対する信認が低いこと。物価上昇率が高く、インフレ基調が強い経済であること……。
しかし、街の風景を見ると既にオリンピックを開催しても問題ないくらいにインフラは整備され、交通渋滞はあるものの、街並みは綺麗に整っています。中心部を見る限り、「新興国」のイメージはありません。
イスタンブールにはアジアとヨーロッパの真ん中という地の利があります。また、NATOに加盟しているのに、アラブ産油国やイスラム経済とのつながりも強いという特別なシチュエーションも利点です。ロケーションから言っても、とても恵まれた環境にあるのです。
日本で暮らし、住みやすく安定した先進国だと思っているうちに、新興国が後ろからフェラーリが走ってくるように、気が付けば追い抜かれている。
経済的に豊かになることが全てとは言いませんが、世の中の経済情勢は刻々と変わっていることは、頭に入れておくべきだと思いました。
新興国は永遠に新興国とは限らないのと同様に、先進国が永遠に先進国のままだとも限らないのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年8月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。