スマートプロパティというのは、ビットコインのブロックチェーン上で動く拡張プロトコルで、ある種の資産を、暗号通貨として扱うようにできるものだ。
ペーパー資産のさいたるものは株式である。現在は株式は電子化されたが、依然としてほふりや信託銀行という中央集権の機構が、莫大なお金をかけて株の名義人の書き換えや、配当の事務をやっている。
早晩、これらはなくなるだろう。
ビットコイン上のスマートプロパティで実現したほうがよっぽど簡単だからだ。実現する方法は、すでにいくつかある。
私が試してみたのは、Counterparyというプロトコルだが、事実、株式事務に必要なことはすべて行うことだできる。現時点でだ。
まず、株式を表証する暗号通貨を新規に発行数する。例えば、ソニーなら、SONYCとかの名前をつければいいだろう。その株式コインの保有者を株主とみなす。
・株式コインの譲渡
単にコインを相手に送付すれば良い。ビットコインの送付と一緒で10分で確定する。所有権が移動し、その移動はたちどころに全世界に知られ、確定する。
証券会社の決済機構のように、何日もたって受け渡しが行われるのではない。ほぼ瞬時。世界中だれにでも、譲渡でき、相手は証券口座を持っている必要はない。
これにより、株主は、匿名でもよくなる。匿名で株主を管理する方法が実現する。
・株式コインの売買
いわゆるトレーディングであり、東証のような機能だ。これはかつてのmt.goxのような交換所で、そのコインを売買できるようにすればよい。暗号通貨同士の売買の取引市場は作るのは簡単だろう。
・株式コインの発行
発行者は、コインを追加発行できる。発行数はブロックチェーン上で確かめられる。これも1クリックして発行数を入力するだけで出来てしまう。面倒な手続きはいらない。
・株式コインの償却
償却したいコインは、利用できないランダムなビットコインアドレスあてに送ることで、完全に抹消することができる。
・発行者の変更
これもできる。会社自体が売却されたといった場合、オーナー権限のアドレスを変更することができる。これも簡単で、オーナーのビットコインアドレスをしていするだけで、10分で終わる。
ここからがスゴイ、
・配当
コイン保有者に対して、比例配分にて、他の暗号通貨を送付するという機能がある。配当する暗号通貨はなんでもいいが、仮にビットコインでも、スマートプロパティでも、なんでも配当できる。
配当は、1コインあたりいくらの配当額をきめて、ワンクリックするだけだ。手数料は正確に計算していないがわからないが、数百円で、10分で配当が終わる。
しかも、驚くべきことに、この配当は、株主の名前も住所も銀行口座もいくら各自がもっているかの数量すら把握する必要がない。ブロックチェーンをたどって、コインの残高があるアドレスをみつけて、その残高に、配当を送りつけるだけだから。
匿名の株主あての配当もこれで実現できる。
・株主総会を開きたい場合
これも驚くべき方法で実現できる。先ほどの配当の機能をつかって、投票用のコインを配当する。そうすると、株式コインの保有の割合に応じて、投票コインが手に入る。
この投票コインを、投票の選択肢に応じて、あるビットコインアドレスにおくる。議題に賛成ならAのアドレスに、反対ならBのアドレスに送るといった具合だ。
この投票では、投票は即時反映され、管理人も不要で、不正ができず、結果はブロックチェーン上でリアルタイムで確認できる。ブロックチェーンが投票数を証明するので、議事録も不要だろう。
株式事務を、ビットコインとスマートプロパティのテクノロジでやるようになれば、きわめておおきなイノベーションになる。
なお、これは冗談のようにおもわれているかもしれないが、実際にNYSEに上場するオーバーストック(OSTK)が自社株式をこのようなスマートプロパティにラップして、仮想通貨ネットワークで流通できないか計画をしているとのことだ。