「受験の朝日」とメディア・リテラシー教育

本山 勝寛

朝日新聞問題が騒がしい。朝日新聞といえば、その記事が大学受験の問題に使用されることが多いということで、学生やその父兄、教育現場に対して「受験の朝日新聞」を売りにしていることでも有名だ。

実際に朝日のウェブサイトによると、2014年度の朝日の出題大学数は242大学で全体の42%、出題問題数437問で全体の50%と、他紙を圧倒している。ちなみに、出題問題数2位は日経18%、3位読売16%、4位毎日14%、5位産経2%と続く。


試験に活用されるのが多いのは「天声人語」、オピニオン、社説と続き、特に教育界における天声人語の地位は別格扱いだ。教育現場では天声人語を書き写させることまでやっているところもあるそうだ。

学生が新聞記事を読み解くことは大いに推進されるべきことであるが、こうも一紙に偏りがある傾向には懸念を抱かざるを得ない。そもそも新聞に書かれていることだからいつも正しいと思わせ、それを「写経」させるようなことはメディア・リテラシー教育として適切ではない。特に、社説やコラムのように主観的意見が強いものであればなおさらだ。

新聞といえどもその主張を鵜呑みにせず、論理に飛躍がないか、根拠が十分であるか、対立意見に対して反駁できているか等、批判的思考をもって読む力を養っていく必要がある。同じテーマでも複数の新聞を読み比べ、どちらに説得力があるか、他の考え方はないかを考えさせるような教育こそが重要だ。

昨今の朝日新聞による慰安婦報道の記事訂正問題では、そのことを改めて確認させられたのではないだろうか。教育界ではこれまで朝日新聞が異様なまでに重宝されてきた。そのことが、日本人のメディア・リテラシー教育に果たして貢献してきたのか、それこそ「検証」する必要があるのではないだろうか。

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学びのエバンジェリスト
本山勝寛
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「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。