「Jack the Ripper(ジャック・ザ・リッパー)」というのは、19世紀末の英国のロンドンで起きた連続殺人事件の犯人の通称です。よく「切り裂きジャック」と呼ばれたりする。「Jack(ジャック)」は日本語で言えば「太郎」みたいな一般名で「名無しの権兵衛」みたいな名前です。
この犯人、1888年8月31日からの約2ヶ月間に、同一犯と確認されているだけで娼婦を5人殺害しました。一様に鋭利な刃物で喉を掻き切られ、臓器の一部を取り出した後、その死体を遺棄。その方法が素人では難しいと考えられ、犯人は外科医など解剖の心得のある者ではないか、と当時から目星をつけられていたようです。しかし、一連の事件の犯人は今に到るまで逮捕されず、迷宮入り。「切り裂きジャック」は猟奇的連続殺人犯と解明されない事件の代名詞となった、というわけです。
19世紀末といえば、植民地からの収奪と産業革命で近代化と経済発展の波が押し寄せ、大英帝国が絶頂期を迎えた「パックス・ブリタニカ(Pax Britannica)」の時代に重なります。ビクトリア朝末であり、世紀末文化が爛熟した一方、社会の矛盾が都市に集中し、貧富の格差が拡大し、ロンドンにはスラムが点在して夜の街には娼婦が暗躍します。降霊術などオカルトが流行り、階層を問わず人々のモラルが崩れ、本音と建て前が大きく乖離した時代でもあったわけです。
そうした世相の中、猟奇的な連続殺人事件が起きたわけで、当時の英国ではかなりの大騒ぎになりました。同時代の作家にシャーロック・ホームズを世に出したコナン・ドイルがいるんだが、なぜか、彼はこの事件を小説に登場させていません。これは今でも「シャーロキアン」たちの間で議論になっているようです。
英国では今「切り裂きジャック」の正体がわかった、と話題になっているようです。事件の遺留品であるショールをオークションで手に入れ、ついていた体液をDNA鑑定したらしい。それによると、当時も容疑者とされていたポーランド移民の理髪師だそうです。ただこれ、調査を依頼した人物が発売する本の宣伝なんじゃないか、という話もあり、DNAのサンプルも時間が経ち、不特定多数のDNAが付着している可能性があるから信用できない、という人も多い。
ちなみに「名無しの権兵衛」の由来は、江戸時代の深川の遊女に男性名を名乗らせ、それが「権兵衛」だったという説などがあるんだが、英語の場合、名前が不明なケースでとりあえずつけるのは「John Doe(ジョン・ドウ)」や女性では「Jane Smith(ジェーン・スミス)」というのが多いようです。JohnやRchardと同様、Jackも「太郎」という「名無しの権兵衛」というわけです。
The Telegraph
Has Jack the Ripper’s identity been revealed?
「インクがいらないペン」をピニンファリーナが発売
WIRED
これ「インク不要で一生使える高級ペン」というわけで、いったいどういうメカニズムなのか興味津々です。なんでも合金製のペン先が、紙との摩擦で「酸化」し、跡を残す、という仕組みになっているらしい。値段は89ユーロ(約1万2000円)。紙を選ぶのか、何にでも書けるのか、ちょっと心配です。
Apple Now Sending Alert Emails When iCloud Accounts Accessed via Web
MacRumors
米国で女優やモデルなどが、自身のクラウドサーバーからプライベートなセクシー写真を盗まれ、ネット上で公開されて問題になっています。その多くは、iPhoneやiPadなどから自動的に写真などのデータをアップするアップルのiCloudというサービスに侵入されたようです。アップル社はしばらく沈黙を守っていたんだが、セキュリティを強化する、とコメント。ネット経由でiCloudのアカウントや別のデバイスでアクセスするたびに契約者のメールアドレスへアラートが来るらしい。これはこれでウザいんだが、今の世の中、あきらめるしかなさそうです。
Full Harvest Moon: How to Photograph Tonight’s ‘Supermoon’
livescience
今日9月9日は、今年3回目で今年最後の「スーパームーン」です。スーパームーンとは、通常より大きく強く光り輝く満月のこと。次のスーパームーンは、2015年9月28日。一年後、というわけで今年がいかにスーパームーンの当たり年だったかよくわかる。実は十五夜は昨日だったんだが、今日のほうがより月が大きく見えるらしい。この記事では、スーパームーンのきれいな撮影の方法を伝授しています。
I am a North Korean defector-turned-rapper: any questions for me?
the guardian
16歳の時にいわゆる「脱北」したKang Chun-hyok氏という若者が、韓国でラッパーになって活躍している、という記事です。自称、北朝鮮から出た世界最高のラッパーらしい。韓国内の北朝鮮と脱北者支援団体で活動し、北朝鮮で暮らす人たちに想いを馳せるラップを披露しているそうです。
アゴラ編集部:石田 雅彦