「デング熱デマ騒動」にみるネットリテラシーの重要さ

アゴラ編集部

有名芸能人の影響、というのはけっこう強力で、彼らがテレビで発言したことやブログなどでの発信は目立つので大手マスメディアが紹介されたりしてより拡散します。「デング熱は過去も感染者がいたのにナゼ今年だけ大きく報道するのか、そこには何か『陰謀』があるのではないか」というデング熱のデマも、一部SNS上などでチラホラ散見されていたんだが、ここまで広がったのはある吉本系芸能人が「デング熱報道が怖い」とツイートし、それをマスメディアが報じたことで一般にも知られることになった気配があります。


賢明なるアゴラの読者は、デング熱デマ騒動に踊らされたりはしないと思うんだが、ネット上だけの「シャレ」としておもしろがり、自分は「眉唾」と思いつつ気軽に「いいね!」をつけたりリツイートしたり、という行為が拡散し、一人歩きするほうが「怖い」。一方、こうした一芸能人のツイートを「意味深」と紹介するメディアもメディアとはいえ、厚生労働省や国立感染症研究所の「告知」は「衆知啓蒙」活動としてあまり効果を上げていない、ということにもつながります。

表題の記事のように、ネット上にはデング熱デマを否定する記事やブログなども出始めているようで、こちらも少しずつSNS上で拡散しつつあり、ネットの「健全なバランス感覚」が機能している気もします。ただ、隠蔽体質や無謬性の誇示により国民の政府行政への不信感が増幅し、また朝日新聞の「慰安婦誤報」騒動、吉田調書問題に代表されるように読者視聴者のマスメディアへの信頼性も低下している。今回のデング熱デマ騒動のように、容易にウソだとわかるデマ情報に引っかかる人がこれほど多いとなると、ますます影響力を増すネット情報へのリテラシーが心配になります。

mokuromi.com
デング熱も怖いけどこんなデマが拡がるのも怖い。去年のデング熱の国内での感染者数はゼロだよ!


Apple Watchの小さなパーツには、アップル最大の挑戦が込められているだろう
GIZMODOジャパン
いざ出てみると非常にオーセンティックなガジェットだった、というのがアップルの「Apple Watch」に対する大方の感想なんじゃないでしょうか。実際に触って使ってみないとわからないものの、発表された外観や機能にはそれほど驚かされなかった。しかし、この記事によれば、腕時計の竜頭(りゅうず)、英語では「Crown」が画期的らしい。もちろん、タッチスクリーン機能やSiriによる音声認識機能も備えているんだが、この竜頭はこれまで独創的なUI(ユーザーインターフェイス)を提案してきたアップルならではのもの、と書いている。ちなみに「竜頭」は、お寺などの鐘を上から吊すときの「鈕(つまみ)」のことで、それが転じて時計の竜頭にも使われるようになったそうです。

Japan Takes Large Southern Extension of Continental Shelf
THE DIPLOMAT
日本政府は9月9日の閣議で大陸棚の延長に関する政令を決定しました。これは、沖ノ鳥島北方の四国海盆海域と沖大東海嶺南方海域で、新たに17万7000㎡が日本の大陸とする、というもの。レアメタルやメタンハイドレートなど、海底資源を獲得する狙いがあるわけなんだが、この記事では、こうした行動は中国を刺激し、両国の新たな火種になりかねない、と書いています。

首相官邸資料より。

The Strangest Family: The Private Lives of George III, Queen Charlotte and the Hanoverians by Janice Hadlow, review: ‘discursive and leisurely’
The Telegraph
今の英国女王エリザベス二世のひいおじいさんに当たるジョージ三世について書いている書評です。彼はドイツ系のハノーヴァー家の系統だったんだが、女子の継承を認めないハノーヴァーの家法のため、ヴィクトリア女王の即位により、ハノーヴァー朝はここで終了してヴィクトリア朝、その後のウィンザー朝が始まった、ということになっている。ただ、ウィンザー家自体もドイツ系です。欧州の王家の血統というのは複雑怪奇。で、ジョージ三世なんだが、植民地だった北米へ重税を課そうとしたため、独立戦争が勃発。その結果、北米を失ってしまったという王様。晩年は認知症になりつつ、長男に摂政をしてもらって在位60年という歴代三位の王座に座っていたらしい。この記事では、ジョージ三世の生い立ちと家庭生活などについて紹介しています。

iPS網膜を使った加齢黄斑変性の治療、厚労委が了承 安全性を確認
健康美容ニュースブログ
ノーベル賞も受賞した日本発の画期的再生医療技術「iPS」細胞なんだが、ようやく臨床の現場でその本来の役割を果たすようです。加齢により網膜の中心部にある黄斑に障害が起き、見ようとするものが見えにくくなる「加齢黄斑変性」という病気にiPS細胞が世界で初めて応用されるらしい。これは「STAP細胞」騒動に対する理化学研究所の対応を「利権の倫理観に耐えられない」と内部批判した高橋政代プロジェクトリーダーによるもの。その後、京大iPS細胞研究所の山中伸弥教授らとともに一連のノイズを周囲の払拭し、臨床応用の成果へまとめ上げた、というわけです。


アゴラ編集部:石田 雅彦