まだ野尻美保子氏のように錯覚している人がいるので、うんざりするが確認しておこう。戦前の朝鮮半島は日本の領土であり、朝鮮人は日本人の同胞だった。したがって中国やアジア太平洋での侵略戦争について、朝鮮人は加害者だったのだ。
志願して戦場に行った24万人の朝鮮人の軍人・軍属は、彼女の思い込んでいるように「給与がもらえる仕事から排除されて軍に志願した」のではない。洪思翊のように、陸大を卒業して中将になった人もいる。朴正煕も陸軍士官学校を卒業して満州国軍少尉に任官し、中尉まで昇進した。
彼らはなぜ、日本軍に志願したのだろうか。洪思翊は「今の朝鮮は独立国としてはやっていけない。日本と一緒に大きくなり、国力をつけてから独立しよう」と語ったという。朴正煕も同じようなことをいっていた。彼らにとって日本はアジアで唯一、西洋の強国に対抗できる力をもつ国であり、あの戦争は「植民地解放戦争」の側面もあったのだ。
戦争が終わって「閣下はお国に戻って活躍されることでしょう」と言われたとき、洪中将は「私は日本軍の将校として戦ったので、その責任を取りたい」と答え、マニラの軍事法廷では無言を通し、死刑に処せられた。
慰安婦は二等兵の20倍以上の賃金をもらい、戦地を転々として兵士に随行した。身売りの場合には借金を返済すれば足抜きできたが、その後も仕事を続けた慰安婦が多い。初期の(福島みずほが脚色する前の)証言には「連行された」という表現はまったく出てこない。
しかし朝鮮人兵士が靖国神社にまつられていることは、韓国ではタブーである。韓国政府が慰安婦の「強制連行」にこだわるのも、彼らが「抗日戦争」の被害者だったということにしたいからだ。事実はまったく逆で、朝鮮人兵士は戦地では「皇軍」への忠誠心が日本人より強く、進んで危険な前線に出ていった。それは一人前の日本人として認知してもらうためだった。
このようにゆがんだアイデンティティの原因は日本の植民地支配にあり、そこで「鮮人」が差別されていたことは事実だ。しかし大部分の労働者は、貧しい朝鮮半島から賃金の高い内地に望んでやってきたのだ。慰安婦も同じである。極貧の朝鮮で、今の貨幣価値で2億円もの貯金ができる仕事は他になかった。彼らはそれが敗戦で失われたことを恨んだのだ。
来年は日韓条約50周年である。歴代の韓国政権がゆがめてきた歴史を清算し、日韓が加害者と被害者ではなく、かつての同胞として和解するためには、黒田勝弘氏のいうように、感謝と慰労の言葉が必要だろう。「日本のために戦っていただいた朝鮮の軍人・軍属のみなさんに感謝する」という新しい官房長官談話を出してもいいのではないか。