日本生産性本部・日本経済青年協議会というところが2014年度の新人に約2200人を対象に調査した残業についての意識調査がなかなか興味深いものでした。69.4%の新入社員が手当がもらえるからやってもよいと答えたそうです。今の若者・新人社員は働いたら働いた分だけの成果を求めるという結果でした(参照:「手当がもらえるなら・・・」 残業代を求める若者は「社会をなめている」のか?)
ただ働いたら働いた分だけの成果をもらうというのは当たり前にしても、もう残業代という形で支払うことがどの会社でも通用する時代ではなくなってきているのではないでしょうか。
例えばブログを書いている人ならわかると思いますが、すごく時間をかけて練りに練ったブログを書いたのに反響が薄かったとしてがっかりしたことがありませんか?その逆に数十分で書いたブログのエントリーが反響が大きくて、多くの人に読まれるということがあります。おそらくブログを書いている人なら経験したことがあるんじゃないでしょうか。
ビジネスで言えば、デザイナーなら時間をかけて練った案よりもありきたりな案をクライアントが選ぶということも多々あると聞きます。練りに練った案は何時間もかけて作ったものであり、一方のありきたりな案は1時間程度でできるようなものですが、クライアントはデザイン案に何時間かかったかなどは気にもしません。
今や時間をかけて働いたからと言って必ずしも売上が上がり、利益が出るような仕事だけではなくなっています。工場の生産ラインではそれこそ時間をかけて行えば行うほど、利益が上がるでしょう(受注があればですが)。長い時間お店を開けているからこそたくさんのお客さんが入ってきて売上が上がる、という飲食店や小売店もあるかと思います。それが直接働いた時間によって給料に反映されるのは納得できます。
一方で時間をかけたからといって必ずしも成果が出るとは限らない仕事も多いです。コンペ形式の仕事では時間をかけても受注できなければ売上はゼロですし、上記の例でもあるようなウェブデザインやパンフレット、チラシで時間をかけたデザイン案よりもテンプレートの方が好まれるということもあります。こちらは働いた時間で評価をしていたら、会社は売上以上に人件費がかかってしまい、下手をすると倒産してしまうでしょう。
今回のアンケートではおよそ7割の若者が手当が支払われるのであれば残業をする、というように回答しています。ですが、この時代になって残業代だけが対価というのは実態に合わない業種や職種というのもかなりあります。残業代以外の、何らかの形で成果を反映すべき企業が多い時代になっているのではないでしょうか。
新規販売営業を行っている不動産会社ならば歩合制、残業代を払えないベンチャー企業ならストックオプション、従業員持株制度、その他にも業績が良い時にボーナスを出すという方法もあります。もちろん裁量労働制などを適用しても、最低賃金を下回らない基本給は必須です。とは言え、残業をしたら必ず残業代で報いるというような画一的な方法と言うのはあまり今の時代に合っていないのではないでしょうか。
あまりにも残業代をもらって当然という考えがまかり通っていますが、法律的にはそうかもしれません。しかし実態に合っているかどうか、そこは議論の余地があるんじゃないでしょうか。