オリンピックで注目度上昇。不動産投資は江東区!南砂町が穴場?

尾藤 克之

総務省が発表した住民基本台帳に基づく平成26年1月1日現在の人口動態調査によると、 1億2,643万4,964人とあり、日本人住民は、平成21年をピークに5年連続で減少しているとあります。そのなかでもとりわけ、三大都市圏(東京、名古屋、関西)は人口増加の動きが顕著であり、東京都の人口増加数、増加率ともに全都道府県で1位です。一極集中の流れが顕著だということです。


ところが、国立社会保障・人口問題研究所によれば、東京都は人口増加幅が縮小して、オリンピック開催の平成32年(2020年)にピークを迎えた後、減少に転じると予想されています。同研究所によれば、東京で今後、人口が増える町として中央区、港区、江東区があげられています。そのなかでも、江東区が面白いと、ファイナンシャルプランナーの小山信康氏(以下、小山氏)は言います。

—小山さんは江東区にお住まいでしたね?

小山 はい。砂町と呼ばれる地区です。砂町銀座という商店街がよくテレビで紹介されるところです。この辺りは緑道公園や親水公園もあり、住環境がよく整備されています。国道の明治通り沿いには都バスがひっきりなしに走っていますし、タクシーを利用して東京駅に出たとしても2,000円程度に納まります。JR・地下鉄も整備されているため都内であれば何処に出るにも便利です。

—あの界隈の魅力はなんだと思いますか?

小山 買い物が便利という点では、東京一かもしれません。アリオ北砂、南砂町ショッピングセンター(イオン南砂店)、SUNAMOと、大型ショッピングセンターが3つもあります。数時間であれば、無料で駐車場も利用できます。冒頭に申し上げた砂町銀座の他にも、良いスーパーがたくさんあるので、都心に近い割りには物価が安いと言えるでしょう。今年9月には大型のヤマダ電機が出店しましたので、南砂町駅周辺は地方のバイパス沿いのような雰囲気もありますよ。

—色々な買い物手段があるのですね。他にも要因はありますか?

小山 東京メトロの事業計画を見て欲しいのですが、南砂町駅は現行のホームの南側にホームを1面、線路を1線増設することで中線を備えた島式2面3線構造に改築になります。2013年度の一日平均乗降人員は61,014人ですが(前年度比+3.8%)ですが、今後の人口増が見込まれるのと、朝のラッシュ時を緩和するための改築です。2020年度の完成予定と広報されていますが、これはオリンピック招致決定前の計画ですから、もっと大掛かりになる可能性もあると考えています。そういった意味では、江東区のなかでも面白い地域だと思います。

●不動産投資は情報がすべて

—不動産投資のポイントはなんだと思われますか?

小山 不動産投資ですが確実に儲かる物件などありません。そのような物件があれば、市場に出回ることは理論的にあり得ません。見ず知らずの第三者に美味しい情報が提供されるほど甘くはないからです。まずは情報収集が重要だと思います。逆に、余裕資金のある人は、あえてその情報を仲の良い不動産業者に流しておくことも考えられます。どうしても、キャンセル物件のように、すぐに処理したい在庫が発生してしまいます。一般の方ですと、ローン審査等で時間がかかりますが、キャッシュで買える人は取引が早いので、大幅に値引いて販売されることもあるからです。

—オリンピック招致はどのような影響を与えますか?

小山 オリンピック招致の影響もあり、湾岸エリアは建設ラッシュです。物件を探している人も多いと思いますが、人気の高さからかなり物件価格が高い水準で推移しています。さらに値上がる可能性もあるでしょうが、高値掴みとなる可能性もあります。なお、現在は高級マンション群となっている湾岸・豊洲地域ですが、私が生まれたときは空き地ばかりの未開拓地だったのです。それがいつの間にかお金持ちが集まる街に変わりました。今は下町で安い砂町地区も、利便性に注目が集まるようになれば、もっと人気が高まるかもしれませんよ。

7年後にオリンピックを控えていますが、言い換えれば7年後にはオリンピックは終わってしまいます。短期投資をするのであれば、オリンピックに注目してもかまいませんが、そもそも不動産屋ではない私たちが、短期投資として不動産を利用することに疑問がありますね。

●将来を見越した投資を

小山 今後、マンション投資を予定している人は、現在だけではなく、長い将来を見越して、再開発や駅の拡張などを視野に入れたほうが良いでしょう。また、開発の余地があるということは、目の前に大きなビルが建って日当たりを悪化させることも考えられます。大きなニュースにばかり注目して、不動産投資の基本から目をそらしてしまうのは危険です。

—既存のオープン情報だけでは判断がしにくいかも知れませんね?

小山 江東区全体が有望な地域であることは間違いないということです。下町であるがゆえに、利便性に比べて価格が安く抑えられているからです。ただ、これまで地方の人たちを吸い上げる形でマンション需要を得てきましたが、そのエネルギーが枯渇しつつあることは周知の通りです。今後は国際化によって需要不足を補うことも考えられますが、その一方で治安悪化の不安もあります。このあたりの見極めも必要ですね。

—投資にあたっての重要なポイントはどの辺りですか?

小山 オリンピックを当てこんで投資をするのであれば、スポーツ関連の株を買った方が早いと思います。不動産投資は長期的に安定的な収益を狙うべき資産なので、一過性のニュースに頼るのは危険ですね。自分の住居用にせよ、投資用にせよ、不動産は高価な買い物になるので衝動買いだけは避けたいものです。

オリンピック後にバブルが崩壊して、ゴーストタウンと化してしまったケースも世界的に後を絶ちません。オリンピック以外の有用性も勘案して、しっかりと物件や周辺環境を吟味することが大切のようです。

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