国際通貨基金(IMF)は7日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。2014年の世界経済の成長率見通しは3.3%と7月時点の予想3.4%から下方修正しています。2015年も3.8%と、従来の4.0%から引き下げました。
国・地域別でみると、特に下方修正が目立ったのはユーロ圏。2014年は従来の1.1%から0.8%、2015年も0.2%ポイント引き下げ1.3%でした。インフレ率が上昇せず、欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れを余儀なくされる可能性も点灯させています。日本も、消費税増税を受け2014年は0.5%ポイントと先進国で最大の下方修正となりました。2015年も1.0%から0.8%へ引き下げられています。安倍政権は、今回の見通し引き下げでも10%への増税を断行するのでしょうか。
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米国は2014年見通しが上方修正され、2015年は3.1%で据え置き。IMFは2015年半ばの利上げを見込むなかで、それまでの緩和策を通じて成長加速を予想しているんですね。
エマージング国では、中国とインドは2015年見通しを据え置いた一方でウクライナ情勢をめぐりロシアは下方修正していました。ブラジルも、大統領選で決戦投票が確定した直後に2014年の見通しを1.0%ポイントも引き下げています。
今回は、IMFが株式市場で「泡の表面化」に言及した点に注目。先進国の金融政策が事実上のゼロ金利政策を長期化するなか、一部の金融市場が過熱するリスクに警告しています。その上で、いずれの株式市場か特定しなかったものの「年内に株価が調整するといった下振れリスクが高まっており、一部のバリュエーションが割高で泡が立ち始めている恐れがあるとの考えで一致している」との見方を示していました。
以下は、世界経済見通し改訂版で、()内は前回の数字です。
2014年成長見通し
世界経済→3.3%(3.4%)
先進国→1.8%(1.8%)
米国→2.2%(1.7%)
ユーロ圏→0.8%(1.1%)
独→1.4%(1.9%)
仏→0.4%(0.8%)
伊→マイナス0.2%(0.3%)
西→1.3%(1.2%)
日本→0.9%(1.6%)
英国→3.2%(3.2%)
カナダ→2.3%(2.2%)
新興国→4.4%(4.5%)
中国→7.4%(7.4%)
インド→5.6%(5.4%)
ASEAN5ヵ国→4.7%(4.6%)
ブラジル→0.3%(1.3%)
メキシコ→2.4%(2.4%)
ロシア→0.2%(0.2%)
2015年成長率見通し
世界経済→3.8%(4.0%)
先進国→2.3%(2.4%)
米国→3.1%(3.1%)
ユーロ圏→1.3%(1.5%)
独→1.5%(1.7%)
仏→1.0%(1.5%)
伊→0.8%(1.1%)
西→1.7%(1.6%)
日本→0.8%(1.0%)
英国→2.7%(2.7%)
カナダ→2.4%(2.5%)
新興国→5.0%(5.2%)
中国→7.1%(7.1%)
インド→6.4%(6.4%)
ASEAN5ヵ国→5.4%(5.6%)
ブラジル→1.4%(2.0%)
メキシコ→3.5%(3.4%)
ロシア→0.5%(1.0%)
(カバー写真:Getty Images)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年10月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。