2015年、世界を考える --- 岡本 裕明

アゴラ

皆様、明けましておめでとうございます。今年も未熟ながらいろいろテーマを掲げていきたいと思いますので皆様と一緒に考えていければ嬉しく思います。

さて、恒例の年初ブログはその年の予見であります。今日は世界編、明日は日本編でまいります。

その世界。2014年からの宿題は世界のあちらこちらでくすぶる紛争の種、そして石油価格の下落がもたらす影響ではなかったでしょうか? この宿題にどう取り組むか、これがまずは2015年のテーマとなりそうです。


ウクライナ、イスラム国をはじめとした紛争の究極的原因はアメリカの外交の弱さにあるとされています。そのアメリカがロシア苛めにつながるキューバとの国交正常化を図ろうとしています。いや、アメリカというよりオバマ大統領と言った方が正解でしょうか? 大統領がレームダックになった時、国内政策には手を付けられないから外交に走るのは常套手段であり、今回のキューバとの関係改善方針もその一環に見えます。

ただ、このキューバとの関係改善政策はその言葉通りに取れません。私はキーはベネズエラにあるとみています。南米で石油資源を元に儲け続けたこの国は貧富の差でクーデターが起き、チャベスの時代を迎えました。大統領が2013年にガンで死去した際、チャベスの遺言の通り、マドゥロ氏が大統領となりましたが財政はボロボロで国家破綻が近いとされる中、石油価格が暴落し、誰かがギブアップするならまずはベネズエラとされています。

そのベネズエラはキューバと非常に近く、ロシアにも近い関係です。つまり、アメリカはキューバを抱き込みながらベネズエラ、更にはボリビア、エクアドルといった南アメリカ諸国でアメリカ色になっていない国々のオセロをひっくり返す政策に見えます。

オバマ大統領がやろうとしている外交はかなり大がかりなものではないか、とするならばもともと外交が上手でない上にブレーンが限られている中、脇が甘くなることが最大の欠点にもなりかねないという事にもつながります。

世界には問題の火種はいくらでもあります。そこをきちんと押さえられないのなら世界は再び混乱の渦に巻き込まれます。これが2015年の最大のリスクファクターであります。私は基本的に地球儀ベースでコントロールできる国家も機構ももはやないと考えており、世界が地域的、思想的に分離しやすい状況になりやしないかと危惧しています。つまりアメリカの唱える「世界は一つに」の全く逆であります。

ではもう一つの石油価格の問題。私は春にOPECの臨時総会が開催されればそこで方針転換が打ち出されると予想しています。サウジも国家予算ベースでは過去の貯金を使い始めているわけでいつまでもこの状態を保つわけにはいかないと思い始めていると思います。問題はサウジの意志の固さですが、石油は有限であるという世論のボイスを作れば方針は変わる気がします。

仮に石油価格が正常化すればロシアの緊張も解けることになります。つまり、一時的には安ど感が漂うのではないでしょうか?

もう一つ、注目すべきはギリシャの行方であります。1月下旬の総選挙を通じて仮に政権交代から大統領が左派となれば欧州危機再来のトリガーになりかねません。これはギリシャを救うための緊縮財政に対して国民が音を上げたという事ですからPIGGS問題が再び持ち上がらないとも言い切れません。そのEUは金融緩和を行うのではないかとされる中、国債購入などの仕組みについてなかなか難しいかじ取りを要求されています。様々な国の集まりで構造的問題を抱えるEUにおいてドラギ総裁も苦戦するかもしれません。

ここまで見てくると一つの共通点がうっすらと見えてきます。それは苦しい時に毒を飲ませるか、解毒させるか、であります。今、まさに苦しみぬいている国に対して世界が手を差し伸べるのか、傍観するのか、叩き潰すのかという瀬戸際にある気がします。ロシア、ベネズエラ、キューバ、ギリシャなどどこもそれなりに苦しんでいます。

そしてもう一つ、中国の苦しみも加えておきましょう。消化不良で内科治療に時間がかかっているうちに2022年の派閥争いの前哨戦が始まったとすれば人口こそ多けれどこの国に期待できないかもしれないという不安が台頭するかもしれません。

とすればアメリカで黒人と白人警官の問題が降ってわいたように起きたのと同様、2015年の地球は相手が読めず、不審になり、答えを求めてさまよう姿もあるかもしれません。そう考えれば私はシートベルトはしっかり締めて安全運転に務めるのがベターな年になると考えています。

今年はディフェンスに力点を置きながら必要とされるところに必要とされるものを注入できるかがポイントになると考えています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2015年1月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。