引け後の決算:マイクロソフト、ドル高が商業部門を圧迫 --- 安田 佐和子

アゴラ

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本日の引け後の決算は、マイクロソフトです。時間外取引で4.5%安を示しました。

▽マイクロソフト

10-12月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比10.6%減の58億6300万ドルだった。統合費用のほか2014年7月に発表した1万8000人の人員削減計画などを含む再編費用として2億4300万ドル計上したため、減益につながっている。営業利益は2.4%減の77億7600万ドル。希薄後の1株当たり利益は71セントと、市場予想と一致した。売上高は8.0%増の264億7000万ドルと、市場予想の263億ドルを上回った。売上は予想を超えたものの、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「ドル高」を収益圧迫要因と指摘。特に、日本円と中国人民元でのドル高がコマーシャル部門で打撃を与えたと説明している。

売上の内訳は、以下の通り。

>デバイス・アンド・コンシューマー部門 前年同期比8%増の129億ドル

・タブレット”サーフェス”の売上が24%増の11億ドルで、”サーフェス プロ 3”および関連商品が押し上げ

・”オフィス 365 ホーム・アンド・パーソナル”利用者数は前期比30%増の920万人に

・検索広告収入は23%増、Bingの米国市場シェアが19.7%と前年同期の18.2%から上昇

・ゲーム端末”Xボックス”の販売台数が660万台、ホリデー商戦が寄与

・スマートフォン/ハードウェアは23億ドル、”ルミア”は1050万台販売

・”ウィンドウズ OEM プロ”、”ウィンドウズ OEM non-Pro”そろって13%減

サーフェスは好調、ビジネスで利用者が増えた?
Surface-11
(出所:The Next Web)

>コマーシャル部門 前年同期比5%増の133億ドル

・商業クラウドは114%増、”オフィス 365”、”アジュール”、”ダイナミック CRM オンライン”が寄与

・オフィス/コマーシャル製品およびサービスは1%減、”オフィス 365”への切り替えと商用パソコンの低下が背景

・サーバー製品サービス収入は9%増

・ウィンドウズのライセンス収入は3%増

——以上、株価が下落した一因はコマーシャル部門の売上高の伸びにあると考えられます。7-9月期に10%増、4-6月期に11%増でしたが、今回は5%増と大幅に鈍化していました。フッドCFOが指摘するようにドル高が売上をむしばんだのでしょう。

”Xボックス”の売れ行きも好調に見えますが、勝因の裏に値下げがあります。当初の販売価格は499ドルだったものの、ソニーの“プレイステー ション”に対抗するため音声認識装置キネクトを除いた場合で 100ドル値下げし、ホリデー 商戦にはさらに50ドル引き下げていました。

なおマイクロソフトは”ウィンドウズ 10”、”HoloLens”など新製品を発表しつつ、発売日は未定です。

テクノロジー関連の決算は、さえない結果が続きます。本日決算を発表したシーゲート・テクノロジーも売上高は前年同期比4.8%増の37億ドルと、市場予想の37億4000万ドルに及びませんでした。特に売上の2 割を占める欧州部門が5%減と足を引っ張っており、ここでもドル高の余波が伺えます。

21日に決算を発表したIBMも10-12月 (第4四半期)決算は、売上高が前年同期比11.9%減の241億1300万ドルと、市場予想の247億 7000万ドルに及ばず。部門別をみると、グローバル・テクノロジー部門(サーバーやストレージを提供)が7.6%減の 91億7000万ドルと市場予想の95億3000万ドル以下に。グローバル・ビジネス・ サービス部門(コンサルティングやソフトウェアを提供)も 8.4%減の43億5000万ドルと、市場予想の46億 2000万ドル以下に終わっていました。

2015年通期1株当たり利益は15.75—16.50ドルを見込み、上限すら市場予想の16.51ドルに届かず。アップルと提携し2014年12月に初のアプリ製品群を発表したものの、増益の伸びは限定的となっていたのです。おかげで本日、従業員の26%にあたる11万人、同社史上初の大規模リストラに踏み切るとの報道が駆け巡りました。IBMの広報は「馬鹿げた噂」と一蹴。とはいえ「最新の資料で従業員の再編費用に6億ドル計上しているとおり、数千人単位を示すものでほんの一部に過ぎない」と付け加えているので、リストラする見通しには変わりないようです。

テクノロジー関連がさえないなかで、希望の星はやっぱりアップル。翌27日引け後に決算を控え、英フィナンシャ ル・タイムズ(FT)紙が中国のiPhone販売台数が米国を追い越すと報道し、期待を煽っていたのです。ティム・ クック最高経営責任者 (CEO)は昨年秋に「中国が アップルにとって最大の市場となるのは時間の問題」と語っていましたが、まずはiPhoneで実現するようですね。

(カバー写真:Mike Mozart/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年1月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。