「お通し」「チャージ」が無いと、飲食店は経営できないのか? --- 内藤 忍

アゴラ

内藤忍

居酒屋に行くと、頼みもしないのに勝手に小さな小皿が出てきます。「お通し」と呼ばれる300円程度の料理です。イタリアンやフレンチでもコペルトと呼ばれる席料が取られ、写真のようなパンが出てくるお店があります。バーでも、チャージを取るお店は珍しくありません。

頼みもしないものを勝手に出して料金に上乗せするのは、どうにも合点がいかないと思っていたのですが、裏からみればお店の収益源であることがわかりました。3000円の客単価のお店であれば、300円は10%になりますから、馬鹿にならない比率です。


しかし、私がお客として利用していて、お通しがあって良かったお店というのは極めて少なく、イタリアンやフレンチのパンもいつもほとんど残してしまっています。つまり、「お客様目線」からすれば、お通し、コペルト、チャージは不要なのです。

なので、「Shinoby`s Bar 銀座」では、チャージは一切頂かないことにしました。グラスワインは、通常900円(税別)でそれ以外は料金を頂きません。

果たしてこのような価格付けで、経営が成り立つのか。素人発想なので心配ですが、今まで自分が様々な飲食店に行ってみて、良かったこと、改善した方が良いと思ったことをすべて、お店の運営に盛り込んでいこうと思っています。

ワインのセレクションは、毎月開催しているBB&R社のワイン会で使ったものから美味しいと思ったものを選んでいます。リコッタチーズとオレンジのカプレーゼ、キャビア・オン・ザ・エッグ、カラスミ餅といったメニュは、行きつけのレストランや京都の料亭で食べた料理をヒントに創作してもらいました。

一日店長、著者会プランといったお客様参加の企画も、素人発想ですが、あったら面白いなと思って作ってみました。

18時から19時の間、泡、赤、白の8種類のグラスをすべて半額にする「ハッピーアワー」も1週間前に導入を決めました。ワインなら450円、モエシャンドンも650円でサービスいたします。銀座価格として、最低水準を目指しました。

ワインバーは世の中にたくさんありますが、「お客様視点」を忘れず、世界のここにしかない価値を目指して、たくさんの人に長い間愛されるお店にしていきたいと思っています。

だから、もし将来、お通しがあった方が良いという意見がお客様から増えれば、導入するかもしれません(笑)。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。