日没までの時間が長引いてきたな、と感じた頃にやってくる——バレンタイン・デー。日本では女性から男性へ愛を告白する日であるとともに、アメリカでは男性から女性あるいはパートナーに愛を捧げる日。パートナー以外にも家族や友達、お勤め先の方々に感謝の気持ちを伝える日ですね。11日放送の”北野誠のFXやったるで!”でも、大いに話題になりました。
今年は金曜日とあって、一段と気合いが入ります。全米小売業教会(NRF)の調査によると、今年のバレンタイン・デーの1人当たり支出額は142.31ドル(約1万7000円)と、2014年の133.91ドルを6.3%も上回る見通し。総支出額は189億ドル(約2兆2590億円)と、統計が開始した2007年以来で最高をマークしています。ガソリン価格が約6年ぶりの水準まで下落したおかげで、愛を育むために投下する燃料も増えるというもの。1月米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で、「足元のエネルギー価格が購買力を押し上げる」との文言が追加されるはずです。
愛を見つけるのにも育むのにも、お金がかかりますから。
(出所:Chalkhill)
バレンタイン・デーをお祝いすると回答した割合は2014年の53.8%を上回り、54.9%でした。回答者の半分超が満喫するという数字をみると、まるでアメリカ人が愛に溢れた生活を送っているように見えますよね。ところが、統計が開始した2007年から振り返ってみると、意外な事実が浮かび上がってきます。2014年の53.8%こそ、過去9回実施した調査結果で最低だったんですよ。リーマン・ショック直前にあたる2007年に63.4%をつけてから低下傾向にあり、2010年以降は60%割れが続いていたんですね。
足元でリーマン・ショック以前の水準を回復できない理由のひとつこそ、懐具合いではないでしょうか。2015年のデータに立ち返ると、所得に余裕のある方々が楽しむ傾向がはっきり見て取れます。年収5万ドル以上(約600万円)の場合は61.4%と、5万ドル以下の49.3%を大きく突き放しておりました。
今年、恋人/パートナーにギフトを贈るとの回答は91.0%。女性が86.1%だった一方で男性が96.2%とほぼ100%という数字を目の当たりにすると、毎年ゴディバで列を成すスーツ姿の男性陣の姿を思い出さずにはいられません。男女別の支出をみると、男性から女性へという習慣が根強いためか男性が123.94ドル(約1万4810円)と平均値を引き上げており、女性は53.80ドル(約6430円)と、雲泥の差です。男性をパートナーにもつ女性にとっては、海老で鯛を釣れるお得な1日なんですね。
プレゼントの人気商品は、手軽な上に自らの思いの丈を綴ることができるカードが1位で51.2%でした。男女別では女性が57.9%と男性の44.1%を大きく上回っています。2人の愛のようにとろける甘さがウリのお菓子は2位で、48.7%。男女比では男性が47.1%に対し、女性は50.2%でした。3位はお花で37.3%。こちらは男性が圧倒的で60.9%におよびます。4位は外出で37.0%、5位にジュエリーが18.9%と続きます。複数回答ですから、カード+スウィーツ or 花束・・といった組み合わせになるのでしょうか。カードとお菓子だけで80ドル超えというのは現実味に欠けるきらいがありますが、ブランドにこだわると値が張りますものね。
ゴディバだと、バレンタイン仕様29個入りで75ドル也。
(出所:Godiva)
対象別の支出をみると、パートナー向けが断トツで87.94ドル(約1万510円)でした。もちろん、2014年の78.09ドルを超えています。その他は家族が26.26ドル(約3140円)、友達が7.16ドル(約860円)、子供のクラスメート/学校の先生が6.30ドル(約750円)、ペットが5.28ドル(約630円)、同僚が4.71ドル(約560円)となっています。ペットへの愛は同僚より強し、なんですね。
お買い物先の人気は、ホリデー商戦と同じく百貨店とディスカウント・ストアでそれぞれ35.2%、36.5%で上位に立っていました。3位に専門店が入り19.4%、4位に花屋が18.7%と続きます。オンラインの人気も高く25.1%と全体の4分の1に達し、地元あるいは個人商店は13.3%に過ぎません。時代の波には逆らえず、ネット販売に手を出さなければ生き残りづらい世の中に変わってしまいました。
今回の調査は、NRFから依頼を受けプロスパー・インサイツ・アンド・アナリティクスが1月6-13日に6375人を対象に調査を実施。誤差は1.3%ポイントとなります。
(カバー写真:corpus.cam)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年2月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。