私は京都が非常に好きで、出来得る限り時間を取って訪れたいと思っています。それは一つに、京都では寺社仏閣や庭園といったあらゆる人間の創造物が自然に溶け込み、渾然一体となった観があるということです。これ程東洋の自然観が生かされている町はないでしょう。もう一つは、そこには多くの素晴らしい職人が居られるからです。
後者に関してはその一人に、先々月のブログでも御紹介した所謂「人間国宝」(重要無形文化財保持者)、染織家の志村ふくみさんが挙げられます。あるいは、60年余の長きに渡りガラス職人として技を磨かれ、「世界で唯一、軸からペン先まで加工の難しい硬質ガラス(耐熱ガラス)」製のペンを創出されてきた、菅清風(かんせいふう)先生もその一人です。ひと月ほど前にも「平和願いガラスペン贈る ノーベル賞3人に」という記事がありましたが、菅先生は『作家、政治家、画家、学者、教授の先生方に平和のために「がんばってください」とお贈りすることを現在も続けて』おられる御方です。添付の写真は3年前の4月、此のフェイスブックに「バーレーン政府とのALA事業推進に関する合意のお知らせ」と題して投稿したアルバムよりの1枚です。バーレーンの王子様とのサイニングセレモニーにあって、私自身この菅先生の御作りになられた硬質ガラスペンを使わせて頂きました。95歳に成られる御年で今尚そうやって制作活動をやられ、そうした独創的芸術作品を生み出されていることに敬意を表し、唯々脱帽するのみであります。
また、昨年12月にも『眠りに拘る』というブログを書きましたが、私はカンファタブルな形での睡眠を実現し、寝る時間を如何に効率良くセーブして行くかと考えて、何度も何度も枕を買い替え今も理想の枕を探しています。此の枕同様、私が拘り続けている物として布団および箸が挙げられます。
前者に関しては、その軽重に始まって寒暖等々と様々な観点で判断される物です。京都には江戸時代・天保元年(1830年)創業、180年以上の歴史を有するイワタという寝具製造会社があります。イワタの布団はその隅々まで兎に角こだわり抜かれており、より快眠を齎し得る大変良質な布団だと私自身は評しています。後者に関して言うと、私として昼は執務室やレストランで食べ、夜も会食ということが多いものですから、自宅での食事に使用する箸には余計に拘りを持っています。此の箸というのは3本の指で持つわけですが、人夫々に一番適切な太さがあります。更には、その角度も5画や7画といった奇数形が良しとされ、自分の所にぴたっと嵌まる物を私は何時も探しています。京都には江戸時代・明和元年(1764年)創業、250年超の歴史を有する市原平兵衞商店という箸屋があります。ここの「魔法の箸」は日本料理、とり分け魚を食べるのに非常に適していると思います。東京にも大黒屋という拘りの箸屋がありますが、箸を買うのであれば市原平兵衞商店か此の大黒屋といった感じです。
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