2月14日付け拙ブログ「中国バブル崩壊の不気味な地鳴り」と1月26日付け「トヨタ完全復活が示す日本経済の強さ」、同19日付け「今年の日本経済:4つの明るい材料」は、互いに矛盾するようだ。
中国経済が破綻に動けば(その激震のマグニチュードがどのくらいかにもよるが)日本経済が大きな悪影響を受けることは必至だからだ。とても「明るい」「力強い」などとは言っておれない。
結論を言えば、中国経済がそれほどひどくならず、一定の経済減速に収まれば、今年は明るいということだ。 日経平均株価の本日(18日)終値が1万8199円に上昇したことが、それを示唆しているが、さらに上昇する可能性が高まっている。
その要因を整理すれば、まず8%から10%への消費増税が2017年4月に延期されたことで消費の落ち込みはその分回避された。第2に、原油安は年間数兆円の規模で日本経済を潤す(消費税の2~3%の引き下げに相当しよう)。
第3に円安で輸出産業は利益率の高い高付加価値品が世界に販売されて潤い、海外子会社からの配当などの収入も日本企業にもたらされている。海外生産の一部も徐々に日本に回帰し、雇用を拡大し、輸出も続伸する。
第4に、訪日観光客の増大。2014年に、前年比3割増の1340万人に膨れ上がり、日本の観光市場はそれだけで2兆円以上の売上高となったが、今年も1割以上伸びて1500万人になると見られている。
第5に、2015年3月期の企業収益は2008年のリーマン・ショック以来7年ぶりに過去最高益を更新、それに伴って賃上げが進み、消費が盛り上がる。
第6に、豊富な手元資金を活用し、企業が内外で設備投資やM&A(合併・買収)が進む、などだ。
中国経済が破綻すれば、鉄鋼、自動車、電子産業、エネルギー産業、各種機械など多くの輸出、生産が悪化し、影響は広範囲に及ぶだろう。
中国経済の懐の深さからバブル崩壊は2015年には顕在化しないかも知れない。だが、不気味なバブルが蓄積されていることは確かであり、2016-18年に本格化することはありえよう。
それに対する備えを日本政府も日本企業も今から練っておくにしくはない。ただ、ピンチはチャンスでもある。政府がうまく、柔軟に動けば日本の世界における存在感が高まるだろう。
また、ピンチを逆手にとる凄腕の経営者のいる企業が伸び、前例踏襲に明け暮れる硬直化した企業が大きく整理淘汰される。そんな時代がすぐそこに待ち受けているのかも知れない。
編集部より:この記事は井本省吾氏のブログ「鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌」2015年2月18日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった井本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は鎌倉橋残日録 ~ 井本省吾のOB記者日誌をご覧ください。