日本はようやく成長の第二ラウンド

岡本 裕明

日本が現在の地位に納まるようになったのは我々の先輩諸氏が戦後の復興期にゼロスタートであらゆる努力を重ねたからであります。確かに朝鮮戦争という神風もありましたが疲弊していたのは日本だけではなく、第二次世界大戦を通じてあらゆる国が「作り直し」をする過程にありました。


日本は平和憲法の下、他国が大戦後も局地的に戦争を繰り返している中、モノづくりに励んだことで経済大国としての地位を確立できたことは言うまでもありません。つまり、経済環境という意味では圧倒的に優れた条件下におかれていたわけです。更に政治は55年体制で政局の安定化と「経済の自民党」が全面的に旗振りをしたことが大きかったでしょう。

ではなぜ、民主党が政権を取る様な自体が発生したのか、今になって冷静に考えてみればエスカレーターに乗って勝手に上り続けるはずが、その先には階段しかなく、やむを得ず、上っていたら体力がなく脱落する者が続出したというのがイメージでしょうか?民主党は体力ないものに手を差し伸べさっさと階段を上る自民党を引きずりおろしたわけです。しかし、民主党は優しい言葉と裏腹に階段を上れなかったという事かと思います。

今になってまたエスカレーターが見えてきましたがこのエスカレーターの構造が55年体制の時と同じであれば途中で壊れるかも知れず、やや疑心暗鬼になりかけながらも創意工夫で「構造改革」をしようとしている、これが私の見立てです。

ライフネットの出口治明CEOが「賢人の警鐘」への寄稿で「高度成長はもうない。ゼロベースで考え、新しい現場を作ろう」と記しています。氏は戦後日本経済が謳歌した理由は二つあるとしています。一つが冷戦によりアメリカが日本の我儘を聞き入れてくれたこと、二つ目はアメリカに追いつきたいというキャッチアップモデルがあったことを挙げています。その通りでしょう。

では、このモデルは今、崩れたか、といえば私は違うと思います。まず、一つ目は中国の台頭でイデオロギーの相違から新たなる二大大国時代を迎えました。二つ目は日本はアメリカにちっとも追いついてはいないという事です。それはライフスタイルや発想の広さ、イマジネーションなどビジネスの創造力と考える力、資本力などが圧倒的に足りていないと思います。近年ようやくアジア諸国にノウハウや資金を持ってリーダーシップを発揮するようになりましたがまだ入り口です。

日本の新たなるビジネスモデルとは戦後から長く続いているモノづくりに於いては圧倒的なセンスを生かしながらも作る作業は外国で行い、日本はそのライセンスや技術指導、より上の技術開発など人より先んじることではないでしょうか?また、働く主流はもはやバブル経済を知らない世代が主体であり、その世代がその世代のセンスで伸ばしていくべきで前世代はそのサポートするほうが理に適っています。農業や酪農、水産業の門戸を叩く若者の記事を目にする度にこの世代が作り出す全く想像もしなかった世界が生まれると私は確信しているのです。

考えてみればアニメやラーメンで世界に羽ばたく夢を持った人は20年前はほとんどいませんでした。かなり前から台湾や香港、東南アジアでJポップが大人気だったのにそれを本格的にビジネスに取り込んだのはたぶんAKBがインドネシアで姉妹グループを作ったことが初めてではないでしょうか?ようやく日本の大企業が資金力を生かして海外進出でメインストリームを驀進し、起業家や新興企業が誰も挑戦しなかったエリアで戦っています。

そういう観点から見ると日本のビジネスは非常に強くなってきていると言えます。失敗しながらより大きく羽ばたく日本という意味からは民主党に政権交代したのが失敗でそれを糧に今、足腰がより強化されているというのが私の思うところです。今後もこのチャレンジを続けていけば日本にまた陽は昇ることでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本 見られる日本人 2月23日付より