人類滅亡の12のシナリオ --- 長谷川 良

アゴラ

存在するものはいつか終わりを迎える。人類も例外ではないかもしれない。美しい地球に住んできた人類がその歴史を閉じる時はくる、という点で最先端をゆく多くの科学者たちは意見を同じくしているのだ。問題は、いつ、どのようにして、かだけだ。スウェーデンに本部を置くシンクタンク「グルーバル・チャレンジ・ファンデーション」が先日公表した「人類滅亡12のシナリオ」を読者に紹介したい。



▲小惑星、2012DA14、地球に急接近(NASAのHPから)

報告書は12の人類滅亡のシナリオを4分類に分けている。

① Current risks
 1. Extreme Climate Change
 2. Nuclear War
 3. Ecological Catastrophe
 4. Global Pandemic
 5. Global System Collapse

② Exogenic risks
 6. Major Asteroid Impact
 7. Supervolcano

③ Emerging risks
 8. Synthetic Biology
 9. Nanotechnology
 10. Artificial Intelligence
 11. Uncertain Risks

④ Global policy risk
 12. Future Bad Global Governance

報告書は「12のシナリオのうち、9つのシナリオは人間の努力や英知によって回避可能」と予測している。例えば、地球温暖化は世界の国が連帯して対応に乗り出せば、最悪のシナリオは回避できるだろし、核戦争や生物・化学戦争も人間の努力で避けることは十分可能だ。一方、回避不能なシナリオは6と7だろう。予測が難しいうえ、現時点ではそれを回避する手段や方法がないからだ。

6の場合、最近では小惑星が2013年2月16日早朝(日本時間)、地球に急接近したことがあった。スペインのラサグラ天文台が発見した小惑星で「2012DA14」と呼ばれた。米航空宇宙局(NASA)によると、小惑星は地球から約2万7000キロまで接近、静止人工衛星より地球に近いところを通過した。小惑星は大きさが45~50メートルで推定13万トン。地球に衝突し、海面に落ちた場合、津波が生じ、都市に落下した場合、かなりの被害が考えられた。ちなみに、小惑星の衝突は過去にもあったが、地球が大きなダメージを受けるほどの衝突は記録されていない。ただし、大昔、生存していた恐竜の突然の消滅の背後には、惑星の地球衝突があった、という学説はある。

7のシナリオも深刻だ。大火山が噴火すれば、その灰は地球全土を覆い、太陽の光を遮り、動植物に大きな被害を与えることが予想される。身近な例でも、富士山が大爆発すれば、日本全土ばかりか、近隣諸国にも多大の被害をもたらすだろう。

興味深いシナリオは10のシナリオだ。人工知能、通称ロボットだ。近い将来、ロボットが人間のコントロールを離れ、逆に人間を支配していくというシナリオはもはやサイエンス・フィクション(SF)の世界の話ではなく、現実の恐れが出てきたというのだ。哲学者ニック・ボストロム氏は「人工知能の権力掌握の日は近い」と述べているというのだ。

いずれにしても、人類の滅亡は長期的にみれば避けられない。地球にとって不可欠の太陽は今後、10億年、次第に明るくなり、中心核の水素が燃え尽くす。そして太陽は膨張し出し、赤色巨星となる。太陽が放出する灼熱を受けて地球上の水は全て蒸発し、遅くとも30億年後に地球上の生き物は消滅していると予想されるからだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2015年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。