米国のFCC(Federal Communications Commission、連邦通信委員会)が、2月26日、インターネットについて新たに規制することを決めました。共和党や大手プロバイダーが反対する中、FCCは自身の監督権限を強化し、プロバイダーに対して一般公益事業者と同様に扱う方向へ動き出した、というわけです。
2005年に発表されたFCC(Federal Communications Commission、連邦通信委員会)の「Policy statement」によれば、
- 合法なインターネットコンテンツに自由にアクセスする権利
- 法が許す範囲で、自由にアプリケーションを実行しサービスを利用する権利
- ネットワークを傷つけない合法な手段で自由に接続する権利
- ネットワークプロバイダ、アプリケーションプロバイダ、サービスプロバイダ、コンテンツプロバイダを選択する権利
の4つの権利が使用者に保証される、となっています。
米国政府はこれまで、インターネット業者についてできるだけ政府の介入を避け、自由競争での技術革新を促す、という姿勢をとってきましたが、2010年の規制強化に続き、さらに政府の意志を反映させることにしたようです。一方の野党である共和党は、大手プロバイダーやGoogleなどの検索大手からの圧力を背景にこれら規制に対してFCCの法的提訴も辞さず、として政府批判を強めている。インターネット規制は政治的な道具にもなっている、というわけです。
この「ウォールストリートジャーナル」によれば、今回の規制強化は2010年のものと同様、一般利用者にはそれほど影響はない、と書いています。米国のネットメディアの反応は、歓迎調の「ALTERNET」や「GIZMODO」のように、ケーブルテレビの影響からインターネットが守られた、というものが多いようです。ケーブルテレビ経由のネット接続が一般的である米国の事情。政争の具にされていることも含め、日本人にはちょっとわかりにくい部分があるかもしれません。
2月26日、FCCはプロバイダーを公益事業者と同じように規制することを決めた。写真:Mark Wilson/Getty Images
IT WORLD
FCC passes net neutrality rules, reclassifies broadband as utility
米国内に巣くうテロリスト増大の危機
アメリカウオッチYuko’s Blog
いわゆるイスラム国(IS)は、インターネットなどを駆使して欧米の若者たちをリクルートしているようです。先日も英国の十代半ばの少女3人がトルコ経由でシリアへ入った、と報道され、彼女たちがイスラム国へ参加するのでは、と危惧されています。このブログでは、米国内でFBIがイスラム国への参加計画を立てていた男性3人を逮捕した、と書いています。彼らはイスラム国への参加のみならず、オバマ大統領襲撃などのテロも計画していたようです。リクルートしてイスラム国入りした若者たちが、再び母国へ帰り、潜行テロリストになりつつある、という指摘もあります。
Real mummified monk found in 1,000-year-old Buddha statue
ZME SCIENCE
オランダの「ドレンテ博物館(Drents Museum)」のキュレーターが、中国から出展された11世紀から12世紀頃に作られた仏像の内部をCTスキャンしたところ、仏像の内部の僧侶のミイラから新たな史料が発見された、という記事です。同博物館の企画展でのできごとで、これは多種多様なミイラを展示する目的のもの。つまり、仏像の中にミイラがあるのはわかっていて、このミイラがLiu Quanという僧侶だということも明らかになっていました。新たに発見された史料というのは、ミイラの臓器に含まれていた当時の中国の仏典の巻物です。つまり、この僧侶は体に巻物を入れつつ、即身成仏のために外側を仏像で取り囲ませた、というわけ。表題記事では、さらにモンゴルで発見された別のミイラの年齢を医学的に調べてみたところ、200歳、という数字が出てきたらしい。即身成仏でさえ現代人にとっては理解不能ですが、人間の寿命も不可思議です。
画像:M. Elsevier Stokmans.
A Condom Shortage Is Altering Young People’s Sex Lives in Venezuela
VICE NEWS
原油価格の下落で極端な経済危機に陥っている南米のベネズエラですが、生活必需品などが逼迫し、さまざまな影響が出ているようです。この記事では、コンドームも足りなくなり、若者たちのセックスが変化している、と書いている。望まない妊娠や性感染症などを防ぐため、若者たちはセックスをしなくなっている。ベネズエラ政府は、1800万個のコンドームを配布すると発表しましたが、いつどこで、というのはわからないそうです。
イエメン情勢
中東の窓
「アデンは、蠅や蚊でおおわれ、埃のなかをころがり回るざらざらした何かの大きな動物のように、うなり声をあげている」。アラビア半島の先端、イエメンで混迷が続いているようです。アルカイダ系の反政府武装勢力が、現ハディ大統領を首都サヌアから追い出し、勢力を伸長させている。先日は、現地で貧困問題の解決のために働くフランス人女性が武装勢力に連れ去られ、急速に治安が悪化しているようです。この記事では、首都を追われたハディ大統領が紅海とインド洋に面したアデンで捲土重来を期して頑張っているらしい。冒頭は「僕は20歳だった」という言葉で始まるポール・ニザンの『アデン アラビア』の中の一説です。ヨーロッパの欠片が跳ね飛んでアラビア半島の先っぽに転がっているのがアデン。そこからイスラム武装勢力へ反攻しようとする大統領、という図式が何やら象徴的です。
アゴラ編集部:石田 雅彦