情報を集めすぎると新しい発想がわかないか?

北尾 吉孝

プレジデントオンラインの記事に「情報や知識を集めすぎると、新しい発想が生まれない」と書かれていますが、情報というのは常に集め続けなければいけません。但し大事なことは、直観力をどう働かせ情報価値を見極め価値あるものだけを選択するか、ということだと思います。大体アイディアというのは直感的なものですから、一情報に手間暇を掛けずに峻別して行くべきでありましょう。


関連性や正当性等を判断するため、情報は次々と集めてこなければなりません。何も集めずして唯我独尊の世界に入ったらば、之は大変な間違いにもなりかねません。『論語』流に言えば、「学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あやう)し」(為政第二の十五)、即ち「学んでも自分で考えなければ、茫漠とした中に陥ってしまう。空想だけして学ばなければ、誤って不正の道に入ってしまう」ということです。やはり情報を取った上で思索を深め、知恵を磨いて行くことが大事なのだと思います。

我々は出来得る限り学ばねばなりません。実際この現実社会を見ると、分かっている人と思われる人が実は分かっていないというケースが結構あります。学ぶとはある意味で多くの知見を集めるということ、英知を結集するということであって、それが多ければ問題かと言うと決してそうではありません。もし「情報や知識を集めすぎると、新しい発想が生まれない」とすれば、それは情報を峻別する自分の経験値なり直観力なりの養い方が不十分というだけのことです。

人類社会は継続進化して行っています。そういう意味では仮に直観力が養われていたらば、アナログ時代よりもデジタルな今の方が、発想としては新しく豊かなものが湧いてくると思います。例えば、先日放映された「NHKスペシャル|腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」を見ていても、やはり医学の領域でも世界中で次から次へと色々な発見が起こっています。此の腸内フローラというのは「腸の中に住む細菌たちの生態系のこと」であり、いま当該細菌につき徹底究明が為されようとしています。

番組ゲストの一人に、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の伊藤裕教授も出られていましたが、当ブログでも伊藤先生の御著書『腸! いい話』(朝日新聞出版)を御紹介しながら、腸が如何に大事かということをこれまでも書いてきました。「腸内細菌の全貌を解明すれば、医療に大きな変革をもたらすのではないかという期待が高まり、欧米では国家的な研究プロジェクトが動き出し」たということで、今後グローバルでの知見集積により更なる進化が起こってくることでありましょう。

今月全国紙でSBIファーマ株式会社の主として特許に係わる報告をさせて頂き、様々な所から多くの反響を頂いたことは、此のフェイスブックでも先週火曜日に述べました。我々のALA(5-アミノレブリン酸の略称。生命の根源物質とも言われるアミノ酸の一種)事業にしても、日本は勿論のこと中国や英国、ドイツあるいはバーレーン等々と世界各国で研究が為されています。今、グローバルに此のALAというものの特質が見極めようとされているのは非常に有り難いことであると共に、またその世界に我々が情報発信するということも当該分野の研究に進化を齎し、それが人類の健康増進という成果に繋がる一つの大きな原動力となるのです。

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