古生代の地球に君臨した肉食動物アノマロカリスの謎

アゴラ編集部

地球上の生物が多様に進化した地質年代はいろいろありますが、その最も初期の大規模なものは約5億4200万年前から5億3000万年前に起きた「カンブリア爆発(Cambrian Explosion)」と呼ばれる現象でしょう。カンブリア爆発については、米国の古生物学者スティーヴン・ジェイ・グールド(Stephen Jay Gould)氏の著書『ワンダフル・ライフ』などで一般にも広く知識が知れ渡りました。


グールド氏は、カンブリア爆発が起きた時期に堆積した地層である「バージェス頁岩(けつがん、Burgess Shale)」を調べ、化石になって岩に閉じ込められた当時の生物群を研究して、その全貌を我々の前に突きつけました。とりわけ、北米大陸のロッキー山脈のカンブリア紀の地層からは「バージェス動物群」と呼ばれる「奇妙」な動物たちの化石が発掘されます。

バージェス動物群には、その後の昆虫やエビカニなどの節足動物、また現在の脊椎動物の祖先が出現しています。頭部に5つの目がついてゾウの鼻のような口吻が伸びたオパビニア(Opabinia)、体の上下に棘状の突起が十数本も並んでいるハルキゲニア(Hallucigenia)、後のイカやタコの祖先ではないかと考えられているネクトカリス(Nectocaris pteryx)などなど。

中でもバージェス動物群の人気者は当時、生態系の頂点に君臨していたと思われる肉食動物アノマロカリス(Anomalocaris canadensis)でしょう。体長1mにもなるサソリやムカデのような動物です。カンブリア紀の動物群のほとんどが絶滅したり形や大きさを変えたと考えられている中、このアノマロカリスは数千万年ほど後のオルドビス紀の地層からも化石が発見されているそうです。

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オルドビス紀までいた体長約2mのアノマロカリス。地球史上最大の節足動物と考えられている。Credit: Marianne Collins, ArtofFact

2011年には、北アフリカのモロッコのオルドビス紀の地層から、約2mという巨大なアノマロカリスの化石が発掘されています。米国イェール大学の研究者らがこの化石を調べたところ、この生物はこれまで考えられていた数より2倍も多くの足を持っていたことがわかったらしい。つまり、従来の足とは別のもう1セットの足群があった、というわけです。

アノマロカリスは、現在の節足動物の祖先と考えられてきましたが、足がこれほど多いとなれば現在の生物の直接の祖先ではないかもしれません。困惑した研究者らは化石の分析を続けるようですが、もう1セットの足は水中を遊泳するときに使った一種の推進機関だった、という意見や現在のヒゲクジラ類のようにプランクトンを漉すために使ったのでは、という意見もあるらしい。生物は我々の想像を超え、まだまだ謎めいています。

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モロッコで発掘されたアノマロカリスの化石をみると、体側に本来の足とは別の足状の器官がある。Credit: Photograph by Peter Van Roy, Yale University; drawing by Allison C. Daley, University of Oxford

livescience
Prehistoric ‘Sea Monster’ Had More Legs Than Thought


Scientists analyze 300 year old DNA from Caribbean slaves
ZME SCIENCE
ある経済学説によれば、ヨーロッパの産業革命の「原資」のほとんどが植民地からの収奪だったと考えられるそうです。スペイン人が南米のアステカ文明などを征服し、現地から莫大な金銀財宝を奪った、というのは有名な話ですが、アフリカから現地の人々が奴隷として連れ去られ、新大陸のプランテーションなどで奴隷労働させられた、ということもかなり大きな原資になっていたようです。この記事では、南北アメリカ大陸やカリブ海諸地域へ奴隷として連れてこられた人々のDNAを分析したところ、そのルーツの詳細がわかった、と書いている。現在も混乱が続いている西アフリカ諸国の沿岸から出発した奴隷船が大西洋を渡り、各地の綿畑やタバコ畑、探鉱などへ多数のアフリカの人々が連行されて搾取されていました。
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1650年から1860年の約200年間におけるアフリカ人奴隷の流れ。Genome-wide ancestry of 17th-century enslaved Africans from the Caribbeanより。

The 14 most beautiful rivers in the world
The Telegraph
日本では洪水治水対策で、ほとんどの河川がコンクリートブロックなどで固められています。河床も岸辺もガチガチで、とても水生生物や植物が生きていけるような環境ではありません。しかし、地方へ行くとたまに自然状態のままの河川にめぐりあうことができる。たとえば、京都府から兵庫県を流れる由良川や兵庫県北部の円山川、高知県の四万十川、岡山県の吉井川や高梁川などは豊かな水量や河岸の景観がなかなかいい。この記事では、世界の美しい河川を14紹介しています。中国の長江とかヨーロッパのライン川、ドナウ川など、有名どころが多い中、ポルトガルのドウロ(Douro)川などは行ってみたい。この川ではポートワインが名産のようです。

何やってる人? 社会人が「うさんくさいなぁ」と思う職業ランキング! 3位「占い師」2位探偵……
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なるほど、という職業もあれば、どうしてコレが? という職業もあります。中でも、第4位の「ハイパーメディアクリエーター」はそれぞれの単語ごとに怪しい。しかし第5位の「キャンドルアーティスト」は多種多様なアーティストの一つ。なぜ、このアーティストだけが? と思ったら某女優の結婚相手がコレ。もちろん「自称なんとか」は論外。しかし第10位というのは下過ぎのような気がします。

Why Apple Watch won’t be the next big screen for advertisers
VB
先日、鳴り物入りで発表されたAppleの「Apple WATCH」ですが、ネット上の意見には賛否両論あるようです。当方はまだ実物を見たことも触ったこともないので何も言えませんが、この記事では広告表示の点からこの製品を分析しています。そもそもスマホの画面自体が狭過ぎて広告があまり表示できません。時計になったらなおさらでしょう。しかし蛇の道は蛇。何らかの対策が現れるのもこの世界です。


アゴラ編集部:石田 雅彦