米国が奴隷制を廃止した理由とは

アゴラ編集部

米国における奴隷制廃止の歴史は、各州の経済的な争いに発展し、南北戦争の一因にもなりました。北部諸州は英国からの独立戦争の過程で奴隷制廃止の概念が広まり、プランテーションで奴隷労働に依存する南部との意見の相違が顕著になっていく。


すでに、1780年にはマサチューセッツで奴隷制が廃止されていますが、しかし北部諸州にしても奴隷解放で有名なエイブラハム・リンカーンにしても単純な人種差別の側面から奴隷制廃止に動いたわけでもありません。リンカーンがアメリカ先住民を冷酷に虐殺したように、奴隷制廃止はヒューマニズムからの動機ではなく、工業化が進み、労働力の流動化を求めた北部諸州にとって、そのほうが経済的な利益になる、と考えられていたからでした。また、兵員補充で黒人の兵士が必要だった、という事情もあるようで、今でも根強く残る人種差別の理由も案外このあたりにありそうです。

表題の記事では、ジョン・ジェイ(John Jay、1745~1829)というニューヨークの政治家が奴隷制廃止を進めるために宗教を利用した、と書いています。ニューヨーク州では、ジョン・ジェイらの努力により1785年に奴隷制が廃止されている。ちなみに、ここでいう「パトリオット(Patriot)」とは、愛国者という意味ではなく、アメリカ独立革命を推進した勢力のこと。今の日本も同じですが、「労働力の流動化」はいつの時代でも資本の側が欲する重要な経済的要素、というわけです。


英語に「five o’clock shadow」という言葉があり、これは午後5時なると目立ち始める男性の無精ヒゲの意味。しかし、昼間には隠れていた人種差別が夕暮れになると顔を出す、という暗喩もあるらしい。

WND
Early patriots used faith to justify abolition


Germanwings Pilot Was Locked Out of Cockpit Before Crash in France
NYT
3月24日、ドイツの格安航空会社ジャーマンウィングスの旅客機エアバスA320型機が、バルセロナからデュッセルドルフへ向かう途中、フランス南東部のアルプス山中に墜落しました。乗員乗客150人を乗せた同機は、墜落前の約10分間、高度約1万1000mから9000mほど急降下したらしい。この記事では、二人いるパイロットの一人が、その前にコックピットから閉め出されていたことがわかった、と書いています。すでにボイスレコーダーが発見され、コックピットで何が起きていたのか、調査が行われています。ハイジャックなどのテロなのか、パイロットが錯乱したのか、機材や計器機器の故障か、昨年から続く航空機の事故との関連があるのか、憶測が乱れ飛んでいます。

More than 1,000 Korean tree huggers just hugged a bunch of trees, and we have photos
globalpost
韓国へ行くと驚くのは、山肌がむき出しになった禿げ山が多いことです。ソウルの周囲の山々も緑が豊かという感じはしない。一説には、元が高麗を征服した際、日本攻撃用の船舶を建造するために木材が伐採されたためとか、焼き畑農業や温突などの暖房用に植林もせず無計画に森林資源が消費されたためとか、朝鮮戦争による荒廃が原因とか、いろいろ言われています。日本統治時代の乱伐のせい、という説もありますが、これには誤解があり、朝鮮総督府は森林の国有地化などと平行し、朝鮮半島の植林をむしろ推進しています。表題の記事では、森林資源の大切さに気づいた韓国の人たちが、3月21日の「国際森林デー」に1220人以上が樹木をハグした、と書いている。これまでの米国オレゴン州ポートランドでの樹木ハグ936人、という記録を破ったようです。

なぜ創造的職業の社会的地位は高くないのか?
TechCrunch日本版
米国で、科学者や芸術家、プログラマー、ゲームデザイナーなど、クリエイティビティの必要な職業が低くみられがちだ、というんですが、国によってリスペクトされる職種というのはけっこう違います。米国では、作家や記者、ライターといった文章を書く職業はわりに尊敬される。日本では超有名な作家以外そうでもありません。この記事では、クリエイターにはリスクがあるので偏見があるのでは、と書いている。食えない、という経済的側面があるから低くみられるんでしょうか。そんなに単純ではなさそうな気がします。利益を生み出して金持ちになり、失敗のリスクを軽減すれば、この種の職種は尊敬を勝ち得るのか、ちょっと疑問です。

Facebook pushes Messenger as future of business communication
IT World
FacebookがLINEのようなチャットアプリ、メッセンジャーにもっと注力する、という記事です。このへんは日本のほうが進んでるようです。電話で直接、会話する、という習慣はどんどんなくなっていくんでしょうか。断片的な言葉のやりとり、というコミュニケーション手段はこれから新たなフェーズに入っていくようです。日本には俳句や短歌のような短文表現があり、このあたりが背景になってLINEなどが普及しているのかもしれません。


アゴラ編集部:石田 雅彦