「18歳選挙権」に思う

北尾 吉孝

昨年の此の時期は、『「憲法改正国民投票の投票権年齢」について』与野党協議が大詰めを迎えていて、結局その3か月後『法施行から4年後に「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げ』という、ややこしい形での決着を見ることとなりました。


そして此の改正国民投票法の「附則」には、「国は、この法律の施行後速やかに、年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう(中略)、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」と書かれました。

今国会での成立が見込まれる公職選挙法改正案は「18歳選挙権」を実現するものであって、上記よりの課題を解決し若者が政治、社会、そして自分自身に対して責任を持つべく前進を促す為であります。

18歳への引き下げに関しては昨今様々な機関が世論調査を行っており、例えば日本経済新聞社の調査では「50歳代で賛成が46%と反対の48%を下回ったのを除き、全ての年代で賛成が反対を上回った。20~30歳代では賛成が51%、反対が36%だった」ようです。

直近の衆院選(第47回)および参院選(第23回)の20代・30代の投票率を見てみれば、前者が32.58%・42.09%(全体52.66%-戦後最低)、後者が33.37%・43.78%(全体52.61%-戦後ワースト3)と、取り分け若年層における選挙権の不行使が今大変な問題となっています。

諸外国とは対照的に日本の若者の大多数には選挙無関心・政治無関心といった状況があり、之はそれだけ平和と安定が保たれてきた結果だということかもしれませんが、私として余りにも民主主義というものの有り難さを分かっていないのではと感じられます。

歴史を振り返って見れば、今から126年前に発布された大日本帝国憲法下においては所得制限が設けられ、然も男性のみが参政権を有するという状況でした。それ故女性達が参政権獲得の為にどれだけの運動を展開してきたのかに思いを馳せ、一票を行使しないことはある意味自らが民主主義を否定することに繋がる、という位の意識を夫々が持つべきではないかと思います。

その昔は、「一人前の男として重要な責任と義務を負い、社会の仲間入りを果たす年令を意味」する「元服」は15歳であり、その歳で戦場で命を落とし、短い生涯を終えることになった若者も多くいました。

また、世界を見渡せば約9割が「18歳選挙権」を常識として当たり前に認めており、16歳から認めているブラジルやオーストリアのような国もあるわけで、18歳と言えば大人も大人で選挙権を有していない現況こそが世界の非常識だと知るべきです。

私のような60歳を超えた人間ではなく、正に今若い人達が如何なる将来社会を望むのか、将来社会がどうあって欲しいと思うかといったことを真剣に考え、参政権をきちっと行使し民主主義の政治に参加することが必要だと思います。

そしてそれは自身が何れ迎える将来に大きな影響を与えることだと強く意識して貰いたく、245万人超と言われる18歳・19歳の新有権者が若い世代の政治参加を活発化する一つの推進力になればと願う次第です。

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