「江戸しぐさ」はトンデモなのか?

アゴラ編集部

我々は実は自分が見たり聞いたりしたいものしか受け付けません。不快なものを見たり、自分の考えと違う文章を読んだり、嫌な言葉を聞いたりすることを積極的にすることはあまりない。しかし、この世界は我々が受け付けたくないものばかりにあふれています。

従来は、三大紙と呼ばれる新聞やテレビから最大公約数的な情報が嫌でも入ってくるため、自分からは絶対に探しに行かないような情報も目や耳に飛び込んでくることがありました。しかし、ネットなどの情報は多種多様なものがあふれ、キュレーションやリコメンド機能などで、自分が欲しい情報だけを受け取るようにしている人も多い。とりわけ、スマホなどのニュース供給アプリは、ユーザーのかゆいところに手が届くものになっている分、不快な情報を届けないようにしています。


一方、真偽不明な情報がネット上で一人歩きし、あたかも信憑性のあるものとして人口に膾炙してしまうようなことも起きています。狭いネットの世界で自分が欲しい情報だけ取捨選択し、自分が見たくない聴きたくない情報はシャットアウトしてしまう、といったこともよくある。

また、こうしたネット環境に便乗し、自分たちの主義主張を展開し、賛同する人たちを集め、独善的な世界を構築しつつ、その主義主張を広げようとすることも行われています。とりわけ、いわゆる「自虐史観」に腹立ちをおぼえていたような人間は、逆に日本人のプライドといったものを声高に主張し始めている。

誰でも自分が属する国や集団に誇りを持ちたがるものです。しかし、どんな国や集団も他の国や集団とその特質が大きく違うことはない。オリンピック招致で大盤振る舞いになった「おもてなし」にしても、別に日本や日本人だけのものではありませんし、日本固有の日本古来の風俗習慣や倫理観などが他国に比べて際立って優れているなんてことも実はないのです。

しかし、これまであまりにも「自虐」的だった反動からか、本屋に行っても「嫌韓」ものや日本賛美ものが並び、ネット上でもこうした主義主張が目立つようになっています。住み分け的に「リベラル」を標榜してきた朝日新聞などが叩かれ、言論やメディアが相対的に保守の側へ寄っていっている背景があるのかもしれません。

日本古来の美徳を声高にもてはやそうとするあまり、ほとんどトンデモな主義主張も出てくるようになりました。その代表格は「江戸しぐさ」でしょう。この「国家鮟鱇」というブログでは、江戸しぐさを「語り継がれる」独特のマナーだとした地方都市の取り組みに首を傾げています。別に道を譲るときに体を半身にするとか、ぶつからないように傘を傾けるなんてことは、世界中どこの国の人もやってることだと思います。

ただ、右から左まで異論反論にわりと寛容な日本人はまだいいほうで、米国人は極端に他者の意見を受け入れない傾向にあるようです。いずれにせよ、我々はもうあまり真剣に新聞もテレビも見ることはなくなっています。その情報も半信半疑程度にしか受け取れなくなっている。これはある意味でとても不幸な状態だと思いますが、自分が見たくない聞きたくない情報でも、意図的に見聞きする習慣を持っておいたほうがいいのかもしれません。

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Sodium Azide Is The Nastiest Chemical That Ever Saved Lives
io9
「Sodium Azide」というのは「アジ化ナトリウム」のことです。日本では、1998年に起きたアジ化ナトリウムの混入事件を記憶している人も多いでしょう。これは、新潟の木材加工会社や三重大学、愛知の国立研究所、京都の病院で、ポットのお湯などにアジ化ナトリウムが混入された事件。この事件から厚労省はアジ化ナトリウムを毒物指定にしています。しかし、この後、1999年に理化学研究所で、また2008年には岡山大学薬学部で、アジ化ナトリウムの混入事件が起きています。また、様々な反応で爆発したり有毒ガスを発生させたりする物質であり、以前は自動車のエアバックを膨らませる用途に使われていましたが、その危険性から現在は使用されていません。下の動画は、英国王立科学協会の実験です。

What it’s like to play the brand new $269 million golf course that Donald Trump just opened in New York City
BUSINESS INSIDER
米国の大富豪、ドナルド・トランプ氏が、ニューヨークのマンハッタンを眺める場所に、国際的なトーナメントも開催可能な本格的ゴルフコースをオープンした、という記事です。設計はジャック・二クラウス氏。開発費は約322億円だそうです。プレイフィーは141ドルから215ドル。日本からみればそう高くはないですが、米国の公共都市コースの使用料はせいぜい高くても40ドル。この記事でも高くてアクセスもそう便利ではない、と書いている。しかし、マンハッタンの摩天楼をみはるかすコースは絶景です。
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Trunp Golf LinksのHPより。

暗闇でも視えるナイトビジョン目薬、バイオハッカー集団が開発。50m先の闇に潜む人を発見
engadget日本版
表題通りの内容ですが、なんか瞳孔がめちゃ広がっているような感じで怖いです。写真に写る男性の目は、保護用コンタクトレンズのせいだそうですが不気味。今は亡き景山民夫氏のSF小説『遠い海から来たCoo』に、暗視ゴーグルに向かってカメラのストロボを照射し、一時的な盲目状態にしてピンチを脱する、という描写がありましたが、この目薬も同じで明るいものを見たりすると眩しくて網膜がおかしくなるらしい。ずっと暗闇の中で作業する人たちにとっては便利なものなのかもしれません。

Health care industry receives first mobile apps from Apple, IBM
IT WORLD
医療機関で働く看護師などのためのアプリをAppleとIBMが提供した、という記事です。患者の記録にアクセスし、病院設備の更新情報や患者からのリクエストなどを知ることができるらしい。両社はこれまでも旅行や運輸、保険などの業界向けに特化したアプリを提供してきています。こうした取り組みでデバイスのシェアも広げよう、というわけです。


アゴラ編集部:石田 雅彦