公益財団法人日本生産性本部は例年この時期に、「その年の新卒入職者の特徴や就職・採用環境の動向などについて調査研究を実施し、命名を行って」おり、今回の平成27年入社組のタイプは「消せるボールペン型」としたようです。
曰く、「見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。ただ注意も必要。不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)」とのことです。
新社会人に対する私の基本姿勢としては、上記タイプであろうが「自動ブレーキ型」(平成26年度)であろうが「ロボット掃除機型」(平成25年度)であろうが何型であろうが関係なく、先輩面したくないということがあります。
今の若い人から我々のような世代が学ぶことも沢山ありますし、逆に我々のような世代から今の若い人が学ぶことも沢山あるわけで、異質な感性を有するであろう者同士が互いに夫々の大きく離れた世代から学べば良いのだと思います。
『論語』の「為政第二の十七」に、「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為せ。是れ知るなり…知っていることは知っていることとし、知らないことは知らないとする。これを知るという」という孔子の言葉があります。
人は立場が上になればなる程に、部下の前で知らない事柄を素直に「知らない」と言うのが難しくなるものです。それは「うちの上司は、そんな知識もないのか」等と馬鹿にされるのが怖くなるからです。
そこで肝に銘じておきたいのが、やはり『論語』に出てくる「下問(かもん)を恥じず」(公冶長第五の十五)という孔子の言です。「下問を恥じず」とは「目下の者に質問することを恥じない」という意味で、そういう意識を夢にも持たないのが大事だということです。
だから知らぬことは恥ずかしがらずに寧ろ、「なぜ君達はそう思うの?」「なぜ之がこれからの時代に流行ると思うの?」「貴方達はどうしてそういう判断をするの?」というふうに、その時その時で素直に若者に問い掛けて学ぶべきでありましょう。
そして新入社員の側としても素直さ・謙虚さを常に有し、取り分け技術の習得あるいはルーティーンの習得の類で、先ずは「学ぶは真似ぶ」で先輩諸氏より仕入れて行けば良いでしょう。
商人の町であった大阪・船場では、「年寄りは若い人、若い人は年寄りを友だちにしなさい」と昔から言われてきました。若者は年長者の経験から学び、年長者は若者の感性から学ぶのが大切だということです。
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