松原健之さんの「金沢望郷歌」より

先日たまたまテレビを見ていましたら、北陸新幹線開業後初となる今度の大型連休中に、金沢に結構人が押し寄せそうだと報じられていました。


実際「北陸新幹線、GW予約座席3.7倍…前年特急比」のようですし、INTERNET Watchにも先週『急上昇したGW訪問地は「北陸」「金沢」、グーグルが今年のGWに関する旅行検索動向を発表』との記事がありました。

水戸偕楽園、岡山後楽園に並ぶ「日本三名園」の一つ、金沢兼六園は私自身行ったことがあるのですが、金沢に関して他はどうかと少しネットで検索してみるに、「金沢望郷歌」(2005年9月発売)というがあることを見つけました。

之が、静岡県出身の松原健之さん(1979年-)のデビュー曲であるとは後に分かったわけですが、近年稀に見る非常に上手い歌い手だとびっくりしてしまい、何の気なしに彼の歌をYouTubeで引っ張り出し聞いてみることにしました。

此の「金沢望郷歌」は五木寛之さん(1932年-)が作詞されたものですが、それは五木さんの文庫本『金沢望郷歌』(1992年4月発売)を元にしており、文学的素養なかりせば理解出来ないところがあるのではと思います。

例えば、初めの方に「犀星(さいせい)の詩(うた)をうつす犀川(さいがわ)」とあります。此の犀星とは、金沢生まれの詩人・小説家の室生犀星(1889年-1962年)を指していますが、いま犀星の詩を読んだことのある人は殆どいないのではないでしょうか。

また、終わりの方には「秋声(しゅうせい)の思い胸にきざんで」とあります。此の秋声とは金沢生まれの小説家、徳田秋声(1872年-1943年)のことかと思いますが、いま泉鏡花(1873年-1939年)・柳川春葉(1877年-1918年)・小栗風葉(1875年-1926年)と共に「紅葉門下四天王」の一人と言われた秋声を知る人も、ほぼいないのではないかと思います。

此の歌詞を聞いて上記の類よりイメージ出来る人はどれだけいるのかと感じられ、普通の演歌にしては少し内容が難し過ぎるのではとふと思った次第です。

ちなみに、松原さんは美空ひばり(1937年-1989年)の「津軽のふるさと」も歌っていて、聞いてみて大変素晴らしいという印象を持ちました。「金沢望郷歌」に同じく津軽の方も情感たっぷりで、松原さんの本当の故郷は津軽と思ってしまう程でした(笑)

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