「官邸ドローン事件」に思う

今月25日警視庁は『東京都千代田区の首相官邸に小型無人飛行機「ドローン」が侵入した事件で、威力業務妨害容疑で』前日「夜に出頭した40歳の男を逮捕し」ました。


当該事件を巡っては各界で様々な反応が見られますが、例えば弁護士の紀藤正樹さんは「1 首相官邸のテロへの備えの甘さ(中略)2 原子力発電所及びその事故後の対応のテロへの備えの甘さの2点を、明らかにしています」と言われた上で、「オウム真理教事件でさえ、いまだに総括できない、日本政府と、そして野党を含む我が国の議会の平和ボケのような甘さを、教えています」と指摘されています。

一昨日も自民党が「小型無人飛行機問題で小委員会を緊急的に開催」し対応を進めているようですが、菅義偉官房長官も御自身のブログで述べておられたように、「重要施設の警備体制の抜本的強化策や運用ルール、法規制の在り方を早急に検討し、できるところから速やかに実行に移すことによって、危機管理に万全を期」して頂きたいと一国民として願うものです。

本件を受けては早速「大阪市が全公園でドローン飛行禁止に」という動きもありましたが、此のドローンに対し一刻も早く適切な規制が施されねば大変な事象が生じ得る危険性がありますし、仮にそれを施したとしても「ドローン無法地帯」の中で買い溜めた連中がそれを用いて犯罪行為を仕掛けてくるリスクは依然残されたままではと憂慮しています。

今回官邸屋上で発見された『ドローンと同型機と見られる「ファントム」を製造するのが中国のベンチャー、DJI』でありますが、いま此の会社の「世界の商用市場でのシェアは推計約70%で、消費者向け市場のシェアはそれを上回る」状況のようです。

中国で簡単に作られ(液体)爆弾も搭載出来るとなれば、「IS(Islamic State、イスラム国)」のような過激組織が自爆に代わるテロ行為に用いるリスクは想像に難くないわけで、多くの犠牲者を生む凄惨な事件が起こりはしないかと、私は非常に心配をしております。

他方で「福島第一原発の廃炉作業にドローンを活用する計画も進んでいる」他、ドローンを使用し建設現場や原油採掘現場等の「地図を短時間で作るIdentified Technologiesが早くも黒字」になるとか、あるいはドローンで「撮影した画像から作物の生育状況を読み取る栽培管理(中略)国内初の実証実験が始まった」等々と、ドローンを巡る「革新」は日々様々な形で行われています。

現在「世界のドローン市場は約155億円とも言われてい」ますが、此の「市場は2023年までに世界で10兆円、あるいは2025年までに米国だけで8兆円を超えるとも予測され」ており、世界的な規制強化の在り方次第で当該マーケットはもっと大きくなって行くかもしれません。

こうした「革新」にあって常に言い得ることですが、マイナス面ばかりを指摘するのでなく既存物の代替的なものになって行く可能性が高いものでありますから、ドローンが創造し得るプラスの側面に関しても、我々はきちっと目を向けるべきだと思います。

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