ロンドン近郊で「大油田発見」!?

「近年にない激戦」が予想されている英国総選挙ですが、先ほど現地時間の午前7時(日本時間の7日午後3時)より投票が実施され、「ほとんどの選挙区で即日開票」される見通しです。


その英国では先月9日、「ロンドン郊外に油田、1000億バレル 北海油田超える規模」というびっくりするようなニュースがあって、私は自分の過去を思いながら之を興味深く受け止めました。

35年程前、私が英国ケンブリッジ大学に留学していた時はサッチャー政権以前の時代で、所謂「英国病」が蔓延していて当国の経済はがたがたの頃でした。

当時、此の病を克服すべく希望の星は2つあると言われていて、一つが北海油田を成功裏に開拓し英国経済を支えて行くこと、もう一つが国際金融センターとしてシティを徹底的に強化し世界金融の中心にして行くことでした。

それに対して英国中が大きな期待感を持っている時代、サッチャーは見事にその両方をやり遂げて英国を繁栄に導いたのです。

報道に拠ると今回発見された油田は、「北海油田の過去40年間の採掘量(450億バレル)の2倍以上」が埋蔵されており「商業生産が実現すれば、北海油田の生産量の減少を補えるとの見方もある」とのことで、北海油田を巡る当時の状況を見てきた私としては、各所に大変なインパクトを及ぼすのでは?と思って見ていました。

ところが、此の「国家的な意義がある」発見を発表したUKオイル&ガス・インベストメンツ社の株価が「一時200%上昇」したものの、英国ポンドが吹っ飛んだわけでもなくマーケットは意外と冷静に受け止めて当該ニュース自体ほとんど話題にもなりませんでした。

それは、昨今のような世界経済環境下および所謂「シェール革命」の世界的進展下における原油の需要減退・供給過剰という状況の中で、そうした展開になったのかと思います。

何れにしても、日本よりも狭い国土(英国:243,610平方km、日本:377,915平方km)にも拘らず北海に続き、大油田が発見されたわけですから、英国は恵まれた国だと思います。

翻って日本の置かれた状況はと言えば、今後そうした類の大油田が見つけ出されるとは行かない話でありましょうが、その日本でも「国土周辺のメタンハイドレートの埋蔵量は日本の天然ガス需要100年分に相当すると推定されて」おり、ある日突然景色が変わってくるかもしれません。

そもそも『中国が尖閣諸島の「領有権」について独自の主張をするようになったのは、国連の報告書で東シナ海に石油埋蔵の可能性があることが指摘された後の1971年になってから』です。

未だその資源確保に躍起になっている中国とは対照的に、英国などは需要増となれば之は良いといった程度の認識で余り大騒ぎせずに今回の「ビックニュース」を消化しているわけですから、時代が変われば全てが変わって行くということを改めて考えた次第であります。

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