不動産経営で重要なのは「人口」ではなく「世帯数」 --- 内藤 忍

昨日はダイヤモンド社が主催する「ダイヤモンド不動産塾」で講演を行いました。海外不動産の最新投資事情というのがテーマでしたが、参加者の多くが不動産会社の重鎮の皆さまということで、かなり緊張しました(笑)。


この企画は友人の吉崎誠二さんがコーディネートしているもので、冒頭に吉崎さんから日本の不動産に関するミニレクチャーがありました。その中で、興味深いデータを知ることができました(写真)。

人口問題研究所が推計している世帯数の将来予想です。グラフには4つのエリアしか掲載されていませんが、驚くべきことは、日本では既に人口減少が始まっているにも関わらず、世帯数は必ずしも減少しないということです。核家族化によって、一世帯当たりの人数が減っていけば、人口減少と世帯数の増加は両立するということです。

ひとり親と子の世帯でみると、東京では2010年を100として、2035年には145と5割近くまで増加するという予想です。大阪、福岡でも2割以上増えるという予想になっています。

確かに、人口減少は不動産賃貸経営に関してはマイナスの要因です。しかし、問題になるのは人口ではなく、借りる人の数がどうなるかです。単身の若者や、1人暮らしのシニアの人たちは、これからますます増えていき、ワンルームのような住宅に対する需要は高まっていく可能性があります。

日本は人口減少だから賃貸住宅は余り気味というのは、マクロで見れば正しいのかもしれませんが、都道府県別や世帯構成別など、細かいデータで分析をしていけば、別の世界が見えてきます。

重要なことは、実際に元データを自分で当たってみて、事実を確認してみることです。人口問題研究所のデータには、日本の不動産投資を検討している人には極めて重要な事実が眠っています。

講演で皆さまにお話をして、情報提供するはずの機会が、思わぬ学習の機会になってしまいました。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。