都構想否決についての感想1 ー 私利私欲の独裁者

■橋ロスが止まらない

私は大阪市民です。橋下さんが、大阪を良くしてくれると、非常に期待して応援していただけに、今回の住民投票の否決で「橋ロス」が止まりません。

私は、橋下さんの一つ下と同世代で、私が育った小学校は、橋下さんが生まれたとされている隣の校区です。性格もよく似ています。ですから、橋下さんが、どんな苦労をして、どんな生き方をしてきたか、聞かなくてもおよそのことは分かります。

大阪を良くして欲しいという思いだけでなく、個人的な肩入れがあったのは事実です。個人的な肩入れがあったからと言って、全部を肯定してきたつもりはなく、批判すべきは批判してきましたが、本心では自分を重ねて(私は小物ですが)観ていたのでしょう。ですから、余計に「橋ロス」が止まらないのです。

しかし、いつまでもそんなことは言ってられないので、実際に市民の立場で都構想を見てきた感想と、分析(本職では、ビッグデータ解析をやっているのですが使いません)をまとめて、「橋ロス」を乗り越えたいと思います。


■「私利私欲の独裁者」と思っていた人がくらった肩すかし

私にとって分からないのは、「橋下徹という人間」ではなく、むしろ、橋下さんに対し「独裁者で、私利私欲で動いている」と批判する人たちの方です。都構想が否決され、会見が始まるまでの間、「橋下は辞めないだろう」と、ツィートしている人が非常に多かった。ものすごく勝ち誇り、下世話な言葉で……。

なぜ、そういう風に誤解されて見られていたのか、その辺に深い溝があるということについて、考察してみます。

橋下さんは、どんなに怨まれても、必要と思った改革はやり通す。「怨まれてもやる」ということは、余程の信念がないとできない。「私利私欲」でできるほど軽いことではないのです。

私は小さな会社をやっていましたが、社員には「『社長』じゃなく『生島さん』と呼ぶように」とお願いしていた。

私は、社長がやりたかった訳ではない。やりたいことが社長(起業)しないとできないから起業しただけの話。起業すること(社長になること)は、目的じゃなく手段です。

しかし、あるとき、社長同士の飲み会で、「なぜ、社員に社長と呼ばせないのか?」と聞かれて、そう答えたら「あり得ない、絶対に嫌だ」と言われた。その人は、サラリーマンから出世して社長になった人だった。

サラリーマン社会では、それが一般的なんだろうと思う。私は、頭で理解できても、感覚的に分かってない。組織に入ったことがなかった橋下さんも、恐らく似たような感覚だろう。だから、彼らの恐怖心を、本質的に理解することはできなかった。

私は、起業するとき、「私は社長向きじゃない。調整を重んじるより、正しいことをやりたいから起業するわけなので、社員からも嫌われる。だから、私が社長をやるよりも、嫌われない重しになってくれる人に社長になって欲しい。ナンバー2でいたい。お願いやから社長をやって!」と、何人かにお願いした。全員に、「そんな覚悟のないことでは、会社はできない」と言われ、決断したけれど、やっぱり失敗した(・ω<) てへぺろ 橋下さんは、「怨まれてもいい。今なら民意をつかめる。ふわっとした民意があるうちに改革をやりきろう」と決断したんだと思う。知事を、市長をやりたい人ではなく、やりたいこと(都構想)をやるために市長になった人ですから、否決されてまで、続けるはずはないのです。 ■怨まれてもやるということ

「怨まれてもいい」というのは、とてつもなく孤独だし、誤解もされる。

橋下さんも(私も)、頭では、「嫌われるやろうなぁ」と分かっていても、肌感覚では、その範囲は「斬った人まで」と思っていたんじゃないか。まさか「助けようとしていた人(女性層)にまで誤解され、後ろから撃たれる」なんて、思いもしてなかったでしょう。

それに途中で気づいたときには、間に合わなかった……。

多くの人は、何かを判断するときに
「嫌われたくない」
「今のポジション・収入を守る」
という項目を、言わずもがなの大前提に置いている。

ですから、サラリーマンから上がった、「社長と呼ばれたい」タイプの人は、「社長(知事・市長)と呼ばれ続けたい」と思うのでしょう。特に営利団体ではない、自治体の長を選ぶような人は、嫌われるようなことは絶対にしない。私企業であれば、多少強引でも利益を出す人に人はついていきますが、自治体ではそうはいきませんから。

人は自然に「成りたかった姿」、態度になっていくものです。「社長と呼ばれたい」「社長になりたい」タイプの人は、長くやって尊大な態度になってしまって嫌われたりするけれど、「ケンカを吹っかける」ような態度は絶対にとらない。成りたかった「社長(知事・市長)」の姿じゃないから(苦笑)

そういった「(将来、可能なら)社長と呼ばれたい」タイプ。そういうサラリーマン的思想が、日本に広く浸透しています。ですから、就活に失敗したぐらいで自殺する人がでしまうのでしょう。そういう人の視線で、いろんな人に、「ケンカを吹っかける」橋下さんを見れば、「市長(知事)になったからって、何をやってもいいと思っているのか(尊大を超えているじゃないか!)」つまり、「やつは、私利私欲の独裁者に違いない」となるのでしょう。

しかし、橋下さんの「成りたかった姿」は、市長でも、知事でもなかった。
「嫌われたくない」
「今のポジション・収入を守る」
という大前提も、最初から持ってなかった。
だから、ああいった態度を取ったのです(これは、他にも理由がありますので、次回以降に)

橋下さんにとっては、知事だろうが、市長だろうが、一市民だろうが良かった。

ただ、「成し遂げたいこと」があっただけです

それを見て、「私利私欲」と受け取る人が出る。これは、埋めがたい溝。

お互いが理解できない違う人種なんでしょう……。

■余談です

そんなに【良いもん】ではないけれど、橋下さんは、古くは三国志の曹操とか、織田信長とかのタイプです。

そういう歴史上の人物でも、いまだに、「私利私欲」という評価をする人と、「前例を壊す改革者」と評価する人が出てしまいます。

橋下さんは、「嫌われ方」を肌感覚では分かってなかったけれど、自分の分析はちゃんとできていた。曹操・信長タイプの人は、ショートリリーフしかできないのです。

世の中は、

「だんだん制度疲労を起こしてくる」
「古い制度を壊して新しい制度を作る」
「新しくできた制度を維持する」

の繰り返しです。

維持するのは、先発完投型(長期安定政権)の橋下さんとは真逆のタイプ、つまり、調整型でトラブルを避ける人の方が向いています。

これをいまだに誤解している人がいますが、自分の向き不向きを橋下さんは理解していたから、壊し終えて新しい種を撒いたら降りる気でした。そう最初から言ってますし、そこに偽りはないですよ。
橋下さんが嫌いでも、斬るのは完全に壊してからで良かったのです。

もちろん、ショートリリーフタイプが長期政権を取ったら、イラクのフセインとかになってしまうのですけどね……。選挙でいつでも降ろせる日本では、そんな心配はありません。

更に余談で繰り返しになりますが、橋下さんは地位に拘りはない人です。ですから、政治家に戻るときは、「次の目標」が必要です。

次の目標に成り得るのは、「憲法改正」でしょう。それを次の目標に出る可能性はありますけれど、負けてすぐ、より大きな「憲法改正」ができると考えるほど馬鹿じゃないはずです。
安倍首相に誘われたとしても、【当分】は断るでしょう。

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生島 勘富
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