ポツダム宣言って何?


きのうの国会で、ポツダム宣言が話題になりました。共産党の志位委員長が「ポツダム宣言は日本の戦争についてまちがった戦争だという認識を明確に示しております。総理はポツダム宣言のこの認識をお認めにならないのですか?」と質問したのに対して、安倍首相は「私もつまびらかに承知をしているわけではございませんが…」と、はっきり答えられなかったのです(4分すぎ)。


ポツダム宣言は、第2次大戦の末期(1945年7月)にアメリカとイギリスと中国が日本に降伏を求めた通告(原文は英語)ですが、この全文を読んだ政治家なんていないでしょう。それはいいのですが、ポツダム宣言は安倍さんが「戦後レジーム」として批判する占領体制の根本なので、「つまびらかに承知しない」と答弁したのはよくないですね。

日本はポツダム宣言を受け入れて戦争に負けたので、これが今の憲法の基礎になっています。志位さんのいう第6項にはこう書かれています(現代語訳)。

日本人をだまし、まちがった方向に導き、世界征服に誘った影響勢力や権威・権力は、排除されなければならない。無責任な軍国主義が世界からなくなるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能である。

これが彼のいう「まちがった戦争」ですが、この宣言は降伏を要求する文書なので、米英中にとって敵国である日本がまちがっているのは当たり前です。戦争はいつも「自分は正しく敵国がまちがっている」と思うから始まるので、日本にとっても米英はまちがっていたのです。

戦争中に敵国から「まちがった戦争だ」といわれて降伏したからといって、日本が「まちがった戦争でした」と認めたわけではありません。でも戦後の東京裁判では、日本の戦争は侵略戦争だったという判決が出て、日本政府はそれを受け入れたので、国際法的には侵略戦争だったと認めたことになります。

しかしよい子のみなさんにわかりやすくいうと、これはケンカで勝っている子が「悪いケンカだと認めたらなぐるのをやめてやる」といい、負けた子が「悪いケンカでした」といってケンカをやめたようなもので、その後70年もたっても負けた子の孫が悪いわけではありません。

逆にいうと、あの戦争は戦勝国にとって正しい戦争だったのでしょうか。ポツダム宣言は、第2次世界大戦を「正しい民主主義と悪い軍国主義の戦争だった」といっていますが、その同盟国のソ連は民主主義だったのでしょうか。中国は民主主義になったのでしょうか。

要するに、正しい戦争なんかないのです。すべての戦争はまちがっているというのが1928年に結ばれた不戦条約の考え方で、憲法第9条の第1項はそれと同じです。だから安倍さんは「すべての戦争はまちがっています」と答えればよかったのです。