5月1日からイタリアのミラノで国際博覧会、いわゆる「万博」が開かれている。これには「日本館」も出展し、日本の農林水産や食文化を中心にしたパビリオンになっているらしい。会期は10月31日まで。主催側は想定入場者数を約2000万人と見込んでいる。
しかし、ミラノ万博について開かれていることを知っている日本人は、そう多くないのではないだろうか。イタリアでもそれほど盛り上がっていないようだ。また、アゴラでは仲宗根雅則氏による「ミラノ万博が悩ましい」という論考があるが、セキュリティもかなり危機的な状況らしい。半年という長い会期中、緊張感を持続させつつ警備ができるかどうか、なかなか難しいのではないだろうか。
万博と言えば、当方の世代ではやはり大阪万博(1970年)だ。行ってみたかったがかなわず、ずっと個人的に微妙なしこりになっている。大阪万博の正式名称は「日本万国博覧会」だった。その後、沖縄国際海洋博覧会(1975~1976年)、国際科学技術博覧会(通称、つくば博、1985年)、国際花と緑の博覧会(通称、花博、1990年)、再度の日本国際博覧会(通称、愛知万博、2005年)と何度か国内で国際博覧会が開かれている。
公式の国際博覧会は、パリに本部を置く「国際博覧会事務局(BIE)」が唯一の公認機関であり、国際博覧会条約の締結国だけが開催できる。目的は、公衆の教育のために人類文明や科学技術の進歩と将来の展望を展示することにある。世界的に言えば、第1回の万博はロンドンで1851年に開かれた。19世紀の万博とは、西洋近代文明を世界に誇示し、帝国主義の時代を象徴するようなイベントだった。
第二次世界大戦後は、科学技術と進歩、平和などをテーマにし、欧米文明礼讃と植民地から収奪してきた物品を陳列するような指向は影を潜めたが、日本の大阪万博や韓国の大田国際博覧会(1993年)、上海国際博覧会(通称、上海万博、2010年)のように、非欧米諸国にとって国威発揚の場であることに変わりはない。
国際博覧会は出展も国家単位の主催だ。しかし「国家」という枠組みが、大きく揺らぐ時代になっている。国際博覧会も、その存在理由に疑問符がつくようにもなっているが、2016年にはトルコ南西部のアンタルヤで、2017年にはカザフスタンのアスタナで、さらに2020年には中東のドバイで国際博覧会が開かれる予定だ。イスラム圏へ開催地の軸足を移していく国際博覧会。日本では経産省が主導して日本パビリオンを出してきたが、今後これらの地域の万博にも参加し続けるのだろうか。
坂井直樹のデザインの深読み
「調和のとれた多様性」をテーマに、チームラボは、2015年ミラノ国際博覧会の日本パビリオン内に「ハーモニー」と「ダイバシティ」2つを展示。
Breakthrough bionic leg prosthesis controlled by subconscious thoughts
gizmag
ロボット技術は「義手義肢」のために発達してきた側面もある。人間に器具を埋め込む、という発想は、それが行き着く先はサイボーグになるが、肉体とマシンの境界がどんどんあいまいになっていく可能性も捨てきれない。リドリー・スコット監督で映画化もされたフィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は、そうした重いテーマを扱っている。この記事では、使用者の「意志」を義手や義肢へ伝え、随意に動かす技術を紹介しているが、人間の脳波や電気信号はノイズの塊りだ。どれがノイズでどれが意志か、本当に峻別できているのか興味深い。
“なにも無いこと(ゼロ)”が分かる -サルの大脳皮質にゼロを表現する細胞を発見-
東北大学プレスリリース
これは素直に読むと当たり前のように思える。「何もない」ということは、かなり原始的な生物にも「わかる」のではないだろうか。餌が「ある」と「ない」の区別に過ぎないような気がするが、このリリースによると「ない」ことに強く反応する「おばあちゃん細胞」が脳にあるらしい。そもそも「おばあちゃん細胞」があるかどうか、まだはっきりとはわかっていないので、これはなかなか悩ましい発見ではある。
Mushrooms Strengthen Immune System, Study
Counsel&Heal
この「Mashrooms」とは、日本のシイタケのことだ。シイタケは免疫系を強化するらしい。米国フロリダ大学の研究者らによる研究だが、シイタケは生体の免疫系で大きな存在感を示す「γδT細胞(ガンマデルタT細胞)」を増やすのだそうだ。このガンマデルタT細胞は、生体のどこでどのように供給されているか、まだよくわかっていない。果たしてシイタケが、その謎を解くヒントになるのだろうか。
RT
英国が、ウクライナへ圧力をかけるロシアを牽制するため、英国海軍で最大のヘリコプター強襲揚陸艦「オーシャン(Ocean)」をカリーニングラード沖へ派遣した、という記事だ。カリーニングラードは、その昔、ケーニヒスベルクと呼ばれていたバルト海に面する港湾都市。同艦には、80名の英国海兵隊が乗り込み、ポーランド軍を主力としたNATO軍に合流するらしい。バルト海でNATO軍は参加艦艇50隻に及ぶ「Baltops15」という軍事演習を敢行し、ロシアへデモンストレーションする。世界的にどうもキナ臭くなってきたようだ。
アゴラ編集部:石田 雅彦