左派の本質は「老人保守政党」 --- 城 繁幸

久々にお笑いネタを。

例の公務員労組がまた面白いことを書いている。


老人の投票権剥奪し老人の老人による老人のための政治なくせという辛坊治郎氏や池田信夫氏らの大ウソ

意訳「日本は老人の貧困率が高く、老人天国じゃない。むしろ老人地獄だ!若者と高齢者は連帯しよう!」

ちょっとでも社会保障に興味のある人間なら知っていると思うが、公務員労組が使っている“相対的貧困率”は所得をベースにするものであり高齢化が進むとどうしても高くなる傾向がある(普通は老人になったら、それまでの貯蓄と年金でマイペースで暮らしたいと思うだろう)。だから、格差問題を「真面目に」語る人で、この数値を使う人はほとんどいない。

たとえば、持ち家に住んで、貯金が数千万円あり、毎月13万円ほどの年金を受け取っている老夫婦が貧困層だと言い切れる人がどれだけいるだろうか。フルタイムで働いて手取り20万円ほどのフリーターやシングルマザーの方が貧しいと考えるのが普通ではないか。そうした現役世代から搾り取って高齢者に仕送りしている現状はどう考えてもおかしいと感じるのは、筆者だけではないはず。

さらに言えば、今搾り取られているフリーターやシングルマザーが今から数十年後に受け取れる社会保障の額は、今の高齢者が受け取っているそれより大幅にカットされていることは確実だ。

で、筆者が笑ったのは、こういう事実は当の公務員労組さまご自身もちゃんと認識している点。以下の記事もご照覧あれ(笑)

ピケティの言う格差上位1%、日本では金融資産だけで少なくとも1億円以上、申告所得のみなら5千万円以上

意訳「公務員が所得上位5%に入る富裕層だって!?所得じゃなく資産で見ないと意味無いだろムキー!」

文中では盛んにアベノミクスで富裕層の純金融資産が〇割増えただのなんだの言っているが、その6割を65歳以上の高齢者が保有している点はもちろんスルーである。

以上の点を考慮すると、公務員労組さまの本音がはっきりわかるだろう。

・公務員の既得権は死んでも離さない
・高齢者の既得権も擁護する
・若い世代の弱者がどうなろうが知ったこっちゃない

これが、普段は偉そうに世界平和だの格差是正だの御託を並べている彼の本性である。

ちなみに、12年衆院選時のYahoo共産党候補者アンケートを見ても明らかなように、こうしたスタンスは既存左派に共通するもののようだ。若者が共産党をはじめとする既存左派を支持するメリットなど何もないということを最後に明言しておこう。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2015年6月3日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。